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新 堕落性の構造 39

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

12. 責任転嫁が恨みを生む

◉人類歴史は恨みの歴史
 人間は恨みを抱く存在です。とりわけ女性はその傾向が強いようです。

 ある夫に女ができました。彼は自分の妻が邪魔になってきました。産後のひだちの悪いのを機に、彼は妻を亡き者にしようとたくらみます。妻が病に伏しているときに、薬と偽って南蛮渡来の劇薬で殺してしまいました。妻は夫を恨んで、夜な夜な劇薬で崩れた恐ろしい顔で現れたのです。四谷怪談でおなじみの、お岩さんのお話です。それにしてもひどいのは、夫の民谷伊右衛門(たみやいえもん)です。お岩さんでなくたって、だれでも恨み骨髄に徹するでしょう。

 一般的に恨みは、女性や、社会的に弱い立場にあって対抗する手段をもたない人々のほうがもちやすいようです。

 人類歴史は恨みの歴史ともいえます。戦争や飢餓、災害などで数え切れない人々が恨みをもって死んだことでしょう。カンボジアではポルポト共産政権の時、無辜(むこ)の民200万人が虐殺され、わずか800万人の人口は激減しました。映画「キリングフィールド」で御存じと思います。共産主義革命で殺された人々は、一億人以上といわれています。どれほど恨みが多いことでしょうか?

 もっと心が痛むのは、世のため人のために良いことをしながらも、周囲の無知無理解のゆえに犠牲になった人々です。その最も典型的な例が、救世主イエスでした。彼は30歳にして人類救済のため公生涯を出発しましたが、ユダヤ教指導者たちのねたみと怒りのゆえに、33歳にして、ゴルゴタの刑場の十字架上であえない最期をとげました。神様には痛恨の極みです。

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 次回は、「被害を償わせたい思い」をお届けします。


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