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創世記第2章[1]
創造7日目の安息

(光言社『FAX-NEWS』より)

太田 朝久

 太田朝久氏(現・神日本家庭連合教理研究院院長)・著「統一原理から見た聖書研究」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 世界のベストセラーといわれる『聖書』。この書を通じて神は人類に何を語りかけてきたのか。統一原理の観点から読み解きます。

 ローマ教皇庁立聖書研究所のノイデッカー氏は「今世紀に入りキリスト教で、最も正統的な聖書解釈とされてきたのが、聖書の著者たちが当時何を伝えようとしていたかを客観的に探る『歴史的・批判的解釈』。一方、『ユダヤ的・ラビ的解釈』とは、聖書を多様に解釈し、その時代時代に応じたメッセージを探っていく」ことだと語っています。

 その指摘通り、キリスト教は一般的に、神が6日間で創造を終え7日目に休まれた(創世記11節~24節)という記述はバビロン捕囚以後に書かれたものであり、バビロニヤのマルドゥク神による天地創造神話――原文は七つの粘土板に書かれ、7章に分かれている――の影響を受けて成立したものであると解釈しています。

 それはバビロニヤの多神教・汎(はん)神論的神観を克服し、イスラエルの奉じるヤハゥエこそが世界を創造された唯一神であることを明確にする目的から、7日間にしたのであり、また安息日を天地創造と連結させることで、ユダヤ教が単にイスラエルだけの国家宗教ではなく全人類の宗教であることを主張したいためであった、と解釈しています。

6000年の摂理歴史超え千年王国が成る
 ユダヤ的・ラビ的解釈になると、この天地創造6日間と7日目の安息を、神の人類救済の摂理歴史と結びつけて解釈したりします。例えば、1日を千年として考え、天地創造から6000年を経たとき神はメシヤを遣わされ、それから千年の安息の期間が与えられるといった具合にです。

 ちなみにイエス様当時、広く読まれていたギリシャ語訳旧約聖書(70人訳)では、天地創造からイエス様までですでに約6000年となっており、終末意識が高揚していました。

 ヨハネの黙示録にある「千年王国」(204節)の思想もそのようなユダヤ教の終末思想の影響を強く受けて書かれているといわれます。初代教会時代の使徒教父文書の一つ『バルナバの手紙』にも「6日間に完成したということが何を意味しているかに注意しなさい。これは、主は6000年の間にすべてを完成されるであろう、ということである。というのは…1日は千年を意味しているからである…『見よ。主の1日は千年のようであろう(詩篇904)』…6日の間に、(つまり)6000年の間に、すべては完成されるであろう。『また彼は7日目にお休みになった(創世記22)』。これは、彼(=神)の子が来て、不法のものの時代をほろぼし、不信心な人たちをさばき彼は7日目に十分休息されるであろうということである」(佐竹明〈さたけ・あきら〉訳)と主張されています。

 またアウグスティヌスも『神の国』第20巻第7章において『バルナバの手紙』と同様の解釈を行っています。『原理講論』も、この千年王国の思想を取り上げて再臨論を論じており(593ページ)、そういう意味では、聖書に対するユダヤ的・ラビ的解釈を受容する立場を取っていると言えるでしょう。

「アダム創造6000年目」は1996年の蕩減解消宣布式と符合?
 ちなみにヘブライ語聖書(マソラ・テクスト)に基づいて年数計算すれば、天地創造から現代までで約6000年となります。AD17世紀半ば、英国国教会のジェイムズ・アッシャー大主教とケンブリッジ大学の副総長ジョン・ライトフットとが聖書に基づいた緻密(ちみつ)な年数計算を行い、最終的に「アダムが創造されたのはBC40041023日午前9時である」という結論を出しました。

 このアッシャーの計算した年数は、聖書批評学が台頭してくる19世紀初頭まで欧米世界において広く信じられていました。この聖書の計算年数に従えばAD19961023日がアダムの創造された日からちょうど6000年目ということになります。

 そのころ、真のご父母様は何をされておられたかといえば、真のお母様が「世界平和家庭連合創設大会」185カ国の世界巡回路程において勝利基準を打ち立てられたころであり、その後、お母様が南米ウルグアイにおられる真のお父様のもとへ行かれ、1996111日に「世界平和家庭連合定着と蕩減解消宣布式」が行われ、6000年にわたった蕩減歴史の終結が宣布された時と一致しています。これは聖書年代学の立場から見れば極めて意味のある出来事だと言えるかもしれません。

 なお、出エジプト記20章の「十戒」および同311217節にあるように、ユダヤ教では、神が6日間で天地創造を行い7日目に休まれたという創世記の記述を、安息日と結びつけて考えています。ユダヤ教は7日間ごとに安息日を守ってきましたが、それを年単位に拡大したものが7年ごとの「安息の年」です。その安息の年をさらに7倍した49年の翌年、すなわち50年ごとに「ヨベルの年」が巡ってきます(レビ記25章)。

 ヨベル(ジュビリー)の年には奴隷は解放され、土地を失った者は所有権を取り戻し、還故郷することが規定されています。いわば過去の過ちや負債を清算する大恩赦の年であるというのです。2000年は、聖書でいう人類歴史6000年(6日)を終えて7日目の安息を迎える時というだけでなく、イエス様誕生から数えても40回目のヨベルを迎える年に当たっています。2000年はカトリックなどがそのヨベルを記念した行事を企画しています。

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 次回は、「創世記第2章[2]クリスマスツリー」をお届けします。