家族の絆づくり 230
共感力を高める工夫

ナビゲーター:阿部 美樹

共感力が高い人の特徴
 家庭でも、職場でも心地よい関係性を築き居心地の良い場にするために大切なのが「共感」です。

 共感とは他人が喜ぶのを見ると共に喜び、他人が悲しむのを見ると共に悲しむなど、他者の立場で同じ感情を持つことです。
 そのためには、相手の感情を理解する能力と、その感情を共有し寄り添う能力が必要です。

 この共感力は家庭や友達との信頼関係を築くだけでなく、ビジネスにも役立てることができます。
 取引先やお客さまのニーズを素早く察知して対応したり、企画したりすることができます。クレーム対応でも相手の憤りに共感しながら、冷静な心に導くことができることでしょう。

 共感力がある人は、話をしていても一方的に自分の話だけしようとはしません。
 相手が7割、自分が3割ぐらいで話そうとして、聞いてあげようという姿勢の人です。

 また、自分に相手と違った意見があってもすぐに主張せず、相手の意見を受け入れた後に伝えます。
 話したがり屋の人は、自分の主張をメインに伝え、相手を説得しようとしたり、相手にすぐアドバイスしようとしたりします。
 しかし共感力の高い人は、相手に求められない限り、アドバイスをしません。


共感力を高める二つの工夫
 共感力を高めるための、二つの工夫を紹介します。

 第1は、話の中に「感嘆詞」を入れることです。
 「なるほど」「そうだよね」「そうか」「え~! そうなんですか」「へ~! そうなんだ」「すごいですね」「それは良かったですね」「それは大変ですね」などです。

 相手の感情に合わせて、自分もうれしかったり、悲しかったり、驚いたり、感動したりする感情が伝わり、心が通い合うことでしょう。

 第2は、相手の話を繰り返す「おうむ返し」です。
 相手が「昨日、忙しかったんですよね」といったら「忙しかったんですね」と繰り返し、「昨日の話は面白かったんですよ」と言ったら「面白かったんですね」と繰り返すだけです。

 「自分の話をよく聞いてくれる」という思いを相手に与え、さらに深い話ができるようになります。

 多くの会話は、相手の話に対して自分の評価を入れたり、自分の考えを主張したり、勝手に別の話に変えたりして話が深まりません。

 共感力を高めて、心地よい関係性を築いていきましょう。