2022.07.15 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
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第96回 対人恐怖症を克服する方法を教えてください
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「対人恐怖症を克服する方法を教えてください」という質問です。
対人恐怖症とは、初対面の人と会う、人前でスピーチをするなど、対人状況で生じる強い恐怖感や不安症状です。
日本では、場の空気を読むことが大切であると考えられるため、日本人に多い病気といわれています。
近年、対人状況を含む、広義には社会的状況で生じる強い不安感、恐怖を特徴とする心の病気が認識され、「社会不安障害(社会恐怖症)」という名称で認識されるようになりました。
対人恐怖症は、多くは思春期に始まります。
異性を意識するようになる思春期は、他人の目が気になりやすいものです。
人前で失敗した場合、それがきっかけで自信を失い、さらに他人の目を意識し過ぎて、思うとおり歩めずに失敗を繰り返すという悪循環に陥ることがあります。
このような対人恐怖症の症状が「自信の欠如」ですから、反対に、自分に自信を持つことが大切になります。
言い換えれば、自分の個性に対する誇りです。
「価値ある人間だ」という価値観が欠如してしまい、人の目が気になるようになります。
さらに、「失敗するのが怖い」「自己主張ができない」「行動できない」となり、「自分を責めてネガティブな思考になる」という悪循環のサイクルにはまってしまいます。
ここでいう「自信」とは、他人からの称賛を得ることで高められる自信ではありません。自らが自分の強みを発見し、伸ばして、生かしていくことです。
この「強み」は、努力して手に入れる強みではなく、個性として元々備わっている強みに気付くことです。言い換えれば、自分を特徴づける強みです。
そのために、自分が好きなこと、ストレスなく自然にできることなどを意識し、強みという自分らしさの特徴を探しだしてみましょう。
対人恐怖症の人は、自分の弱みを異常に気にして直そうとし、ストレスを抱えながら頑張ってしまいます。それよりも、強みを発見し、それを普段の生活や仕事に生かしてみましょう。
そして、新しいことにチャレンジしてみましょう。
このように、対人恐怖症の克服のためには、強みを軸にして生き、自信を高めることが大切です。
ところで、対人恐怖症になると、対人状況での緊張や不安が高まり、頭痛・動悸(どうき)・手足の震え・顔面の紅潮・発汗・呼吸が浅く速くなる・腹部の不快感などの身体症状が現れることもあります。
これらの症状は自律神経の「交感神経」が優位になることで起こる反応です。場合によっては「パニック発作」が生じる場合もあります。そのパニックは、不安障害の一種であるパニック障害の発作と似ています。
しかし、パニック症の発作は特に理由なく起こるのに対して、対人恐怖症の症状は他人からの視線や評価を恐れるときに起こるものです。
対人恐怖症の治療は、精神神経科や心療内科で受けることができます。
精神神経科は心の病気を扱う診療科であり、心療内科は心の問題が関係して体の症状が現れていると考えられる疾患を扱います。
具体的には、認知行動療法による「精神療法」と「薬物療法」があります。症状がひどい場合は、医師の適正な指導を受けることをお勧めします。
皆さんからの質問をお待ちしています。
「人生相談Q&A」で、ほぼ5分でお答えいたします。
また、お会いしましょう!