夫婦愛を育む 188
結婚生活は「忍」?

ナビゲーター:橘 幸世

 先日、テレビの某クイズ番組で「結婚生活を漢字一文字で表すと?」というアンケートのランキングが出題されていました。

 候補には、「愛」「幸」「楽」「平」「和」「安」「忍」「耐」「諦」「無」などが挙がっていました。
 当然ポジティブなものがトップに来ると思っていましたが、なんと一位は「忍」! 主人も私もショックでした。

 「結婚は人生の墓場」といわれたのは大昔のこと。
 離婚が珍しくない現代では、結婚している人は各自がいい意味で自分の意見を持ち、折り合いをつけながらも納得してやっている人が多いのでは、となんとなく思っていました。

 自分の周りにも「忍」と答えそうな人はあまり見当たりません。コロナ禍で生の声を聞く機会が限られているのでそう思っていたのかもしれませんが…。

 若い世代の方がポジティブな漢字が多く、結婚15年を超えたカップルに「忍」の割合が高いとありました。
 結婚生活が長くなるとネガティブな感情が増すというのは悲しいことです。忙しくて夫婦愛を育むことに心を砕く余裕がなかったのでしょうか。

 新聞の人生相談欄には高齢夫婦の相談も珍しくありません。
 いつぞやは退職後の生活に関する読者の声を紹介するコーナーがありました。

 「7年かけて夫を教育しました」などと、読むとちょっと悲しくなります。
 「教育」という言葉の背後に夫への否定的な感情を感じるからです。その欄が、「自分が変わったら相手も変わった」という体験の投稿で結ばれていたので安堵(あんど)しました。

 ちなみに、私の長兄もかつては家事など一切しませんでした。アトピー喘息(ぜんそく)の息子に妻が一生懸命薬を塗っている最中でも、「おい、お茶」という人でした。

 母や私からは大ブーイング。そんな兄も退職し、妻が実家の親の介護に忙しくしている今は、洗濯物を干したりしているようです(言われてやっているのか、自らやっているのかは知りません)。

 女性向け講座に来られたかたの中には、夫の浮気やDV(ドメスティック・バイオレンス)などの深刻な問題を抱えるも離婚には踏み切れず、一縷(いちる)の望みを抱いて学びに来られるかたも珍しくありませんでした。

 けれど、できればそうなるまでひたすら「忍」、諦め我慢するのではなく、関係を改善するためのアクションを早い段階で取っていただけたらと願ってやみません。

 嘆き願ってだけいても仕方ないのでまずは周りから。
 仕事で3年ほど前に知り合った友人が少しずつ事情を話してくれるようになりました。彼女は、漢字を聞かれたら「諦」と答えそうな中にいます。
 先日、本を貸しました。良い漢字に変換できるよう力になれたらと思っています。

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