夫婦愛を育む 187
「許す!」

ナビゲーター:橘 幸世

 最近毎日のように夢を見ます。
 ストーリーのあるものが少なくなく、主人は「いいね、タダでドラマを見られて」と茶化します。

 ほとんどは日常の意識・無意識の反映なのでしょう。塾で講義のさなか用意した資料がなくて慌てる夢や、足を踏み外す夢といった、疲れるものも時折あります。

 霊性は鈍い方に属する私は、予言的な夢は生涯で一度しか見たことがありません。
 長女を出産して間もない頃、東ドイツと西ドイツのマラソン選手がそれぞれ国境に向けて走っていき、国境線上で抱擁するという夢を見ました。

 「すごい! 私どうしてこんなに感動的な夢を見ているんだろう」と思いながら見ていた記憶があります。
 その約2カ月後ベルリンの壁が崩壊し、意味が分かりました。

 最近NHKの『映像の世紀』という番組で、壁の崩壊が東ドイツ政府報道官の記者会見における失言がきっかけだったと初めて知りました。

 内外共の機が熟し、神様が後押ししたと感じました。
 そんな土壌が、昨今の諸問題においても一時も早く造成されることを願うばかりです。

 さて、先日見た夢がいまだ消化できないでいます。それはこんなでした。

 夜、疲れた中、せかされて車を出した私。主人や主人の母も乗っています。ヨーロッパ風の石畳の道を上り進むと、目の前に大きな車が立ちはだかっています。ブレーキをかけますが止まり切れず軽く接触してしまいます。慌てて車から降りて詫びに駆け寄ると、相手の車から青年が降りてきます。彼は黙って私を近くの建物に連れていきます。そこには青少年が何人かいて、何かの施設のような感じです。責任者らしい中年の女性が出てきて対応し、「全く、これだから…」と批判的な目を向けます。主人も一生懸命状況を説明してくれます。やがて弁明書を書くように言われて戸惑いながらも書きかけると、その女性が突然「許す!」と一言。最初の不機嫌そうな顔はなくなっていて、「事情が分かったから、一生懸命やってきたのが分かったから、もういい」といった内容のことを言います。まだ話してもいない、書いてもいない私の事情が分かったと言うので、不思議に思って手元の紙を見ると、文字が勝手に表れて文章がつづられていきます。私は驚いたまま、解放されて石畳の道に戻ると人も車もいなくなっている、というシーンで目覚めました。

 どうしてそんな夢を見たのか、まだよく分かりません。負債感で激しく苦しんでいたわけでもありません。もちろん、真理を知った立場では、不足な己に負債感は潜在的に常にありますが…。

 自分の過去や思いが勝手に文字に現れるのを考えれば、その女性は神様のような立ち位置なのでしょう。

 神様は許してくださるかた、「あのことかな、このことかな?」と自分の都合の良いように解釈するのではなく、夢からのメッセージがストンと腑(ふ)に落ちるまで、祈り求めていきたいと思っています。寛容を心がけながら。

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