2022.06.03 22:00
【テキスト版】
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第90回 認知症にならないために気を付けるべき点を教えてください(1)
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「認知症にならないために気を付けるべき点を教えてください」という質問です。
認知症の質問に対して2回に分けてお届けします。
今回は、認知症の基礎知識の概要を紹介いたします。
高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計(資料:公益財団法人 生命保険文化センター)によると、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%(約602万人)となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。
さらに、厚生労働省のデータでは、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるという推計を出しています。
5人に4人の高齢者は認知症ではないことになりますが、その中には認知症予備軍とも言える「軽度認知障害」の人も含まれますので、想像以上に多いのが現状です。
認知症の最大の原因は加齢です。すなわち、認知症は誰にでも起こり得るものなのです。
認知症とは、「記憶障害の他に、失語、失行、失認、実行機能の障害が一つ以上加わり、その結果、社会生活あるいは職業上に明らかに支障を来し、かつての能力レベルより明らかな低下が見られる状態」と定義されています。
認知症の具体的な症状としては次のようなものがあります。
介護される意味が理解できない、理解が継続できず、食事や服薬、入浴や着替えなどを拒否するなどの「拒絶」、「暴言・暴力」「昼夜逆転」「異食」、さらには時間、場所、人を認識する機能が低下することが原因で歩き回ってしまう「徘徊(はいかい)」などです。
認知症の種類は三つに分けることができるといいます。
第1は、アルツハイマー型認知症です。脳細胞がさまざまな変化により減少し、脳が委縮することで引き起こされる認知症です。
世界で最も多い認知症で、80歳以上では20%以上がアルツハイマー型認知症だといわれています。
物忘れから始まり、進行はゆっくりと徐々に悪化する場合が多くあります。
第2は、血管性認知症です。脳梗塞や脳溢血など、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こります。
記憶障害の他に、脳血管障害の部位により意欲低下や無関心など、さまざまな精神症状を示します。
第3は、レビー小体型認知症です。大脳皮質の神経細胞内に「レビー小体」という特殊な変化が現れる病気です。
幻視が初期症状として現れ、歩きにくい、体が硬いなどの症状が伴い、パーキンソン病との関連が指摘されています。
これらが主に「三大認知症」といわれています。
次に、認知症の四つの進行段階について紹介します。
進行過程の段階として、「軽度認知障害の前兆段階」「軽度の初期段階」「中度の中期段階」「重度の末期段階」と分類することもできます。
前兆段階は、記憶障害はありますが重篤ではないので、早期発見、早期治療が重要になります。
初期段階は、記憶障害と記銘力低下がよく見られます。仕事や家事をこなすのが難しくなったりします。感情表現が乏しくなり、意欲の減退が見られます。
中期段階は、新しい出来事が覚えられなくなります。多くの場面でサポートが必要になります。食事をしても「食べていない」と発言することもあります。
末期段階は、物事への関心が薄くなり、聞き返すことがなくなります。コミュニケーションを取ることが難しくなります。感染症で亡くなるケースもあります。
このような認知症に関する理解を持って、自分を含めて周りの人を理解していきましょう。
第1回の今回は、認知症の基礎知識の概要について紹介しました。
皆さんからの質問をお待ちしています。
「人生相談Q&A」で、ほぼ5分でお答えいたします。
また、お会いしましょう!