2022.05.15 22:00
創世記第1章[1]
創世記に対する解釈の相違
太田 朝久
太田朝久氏(現・神日本家庭連合教理研究院院長)・著「統一原理から見た聖書研究」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
世界のベストセラーといわれる『聖書』。この書を通じて神は人類に何を語りかけてきたのか。統一原理の観点から読み解きます。
神による6日間の天地創造が、創世記1章に記されています。この6日間の創造の記述をどう解釈するかについて、『原理講論』は次の2点を主張しています。
(1)聖書の天地創造過程が、科学者の研究とほぼ一致している。ゆえに聖書が神の啓示であることを再確認できる。
(2)宇宙は時間性を離れて突然に生成されたのではなく、時間的秩序をもってなされた。6日とは地球が6回自転する間という意味ではなく、創造過程の6段階を表す(75~76ページ)。
聖書の記述が科学とほぼ一致
まず、(1)について、聖書に記述された創造過程は、確かに現在の科学者たちの主張とほぼ一致しています。
(a)宇宙ははじめ水素とヘリウムによるガス状態(混沌)から、巨大なガス雲ができ、やがて原始太陽などの天体がつくられ、次に微惑星が集合して“原始地球”が生まれた。原始地球は微惑星をさらに取り込んで大きくなり、地球の中心部では圧力による摩擦熱が生じ、また放射性元素による核反応の熱、および微惑星の衝突による衝撃の熱などで“マグマの海”となる。またガス成分や水蒸気などは放出されて地球の原始大気をつくる(無水時代)。
(b)熱が宇宙へ逃げて表層が冷えると、水蒸気で飽和していた大気が下りてきて雨雲となり、数十万年にわたって雨が降り続き、原始海洋が誕生した(有水時代)。また火山活動や造山活動などで陸地や海が形成された。残った大気の主成分であった二酸化炭素が海水へ溶け込み、気圧が数気圧となって大気、陸地、海水の温度が急激に下がる。
(c)下等な植物や動物から始まって、魚類や鳥類、ほ乳類などの高等生物が順次に生まれ、最後に人類が誕生した、と考えられています。
これらの主張を、聖書と比較すると次のようになります。
どうして4日目に大きい光(太陽)と小さい光(月)が造られたかという疑問が生じます。神は、太陽・月・星が“存在するように”と言われたのではなく、「昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため…地を照らす光となれ」と、その役割(機能面)について命じていますので、それらが4日目に創造されたと考えるより、すでに存在していた太陽・月・星が、それぞれの役割を果たすようになったと解釈することもできます。ゆえに地球を覆っていたガスや塵がまったくなくなって大気が澄み、この段階で、太陽や月や星の光がはっきりと地上へ届くようになった状態を意味していると言えるでしょう。
6日間の創造は6段階の生成過程
さて、次の(2)についてですが、従来の聖書解釈には、6日間を文字通りの1日24時間として考える説、ある一定期間(例えば地質年代)として解釈する説、および文学的表現としての象徴と考える説などがあります。しかしここで重要なのは、以下の2点です。
イ)天地創造は、時間性を離れて突然に生成されてはいない。
ロ)神の創造のみ業は段階的な秩序をもって行われている。
ゆえに「統一原理」の、6日間を“6段階”というそれ相当の長い期間とする解釈は、妥当だといえます。
なお日本福音キリスト教会連合の舟喜信(ふなき・しん)氏は、1日を24時間の1日として解釈するのは、まず、初めの3日が太陽の創造される以前であるという困難さ。次に、ヘブライ語のヨーム(日)の用例が、創世記2章4節「地と天を造られたとき(日)」のように不特定の期間を意味することから“無理がある”ことを指摘し、さらに「1日を地質年代のような単位で考えることは、1章の記事が年代的順序に従っていることを前提にすれば、現代の学問の成果とかなり符合する点が多い…1日の長さがどうであれ、6日にわたる創造の出来事が年代的に順序正しく記述されていることは重要」(『新聖書注解・旧約1』76ページ)と説明しており、その解釈は統一原理的見解へと近づいてきていると言えます。
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次回は、「創世記第1章[2]創造主は心情の神」をお届けします。