2022.04.20 17:00
中和新聞セレクト Vol.4
混迷する現代社会Ⅱ
毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第4弾は「混迷する現代社会Ⅱ」(21世紀の家族を考える会)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2020年5月から連載中のシリーズです。
第6回「選択的夫婦別姓」について考える(中編)
このシリーズでは、現代社会が抱えるさまざまな問題点を分析し、社会や家庭における正しい観点(価値観)や方向性を提示します。今回は、前回に引き続き「選択的夫婦別姓」について考えます。(編集部)
■調査結果に対する野党や著名人の反応
昨年11月18日にNHKをはじめ多くのマスコミが報じた「選択的夫婦別姓」に関する調査結果を受け(その問題点は前回の記事参照)、野党や著名人らはツイッターで以下のような投稿を行いました。
「どちらかの姓にしたければ、そうすればいいだけ。“選択的”夫婦別姓です。それが家族の絆を弱めますか?」(立憲民主党の公式アカウント)
「選択できるというのになんで(反対するの)?」(宍戸開/俳優)
「世界で夫婦同姓を強制しているのは日本だけ。選択制なので不利益をこうむる人は誰もいない」(宮本徹/日本共産党の衆議院議員)
「同性婚と選択的夫婦別姓制度、誰も傷つけることなくただ幸せな人が増えるだけだから、とっとと可決してほしい」(リベラルなメディア「ハフポスト」日本版寄稿者)
■「選択的」だから問題ないのか?
先に列挙したツイート(投稿)のように、夫婦別姓導入については、「選択的だから良いではないか」という意見が目立ちます。
「自分たちは別姓にする気はないが、別姓を望む夫婦には認めても良いだろう」という考えで、「寛容的別姓容認論」と言えるかもしれません。しかし、私たちは、夫婦別姓を推進している団体や活動家の“真の狙い”を見極める必要があります。
例えば、民主党政権(鳩山・菅)で法務大臣を務めた千葉景子氏は、共著書の『夫婦別姓─家族をここからかえる』で、「戸籍」を解体して「個人籍」にすべきという驚くべき主張をしました。
日本の諸制度には、戸籍で証明される「家族」単位で構築されたものが多く、戸籍の廃止はさまざまな法律・制度の見直しにつながります。
つまり、この運動の本質は「家族単位」から「個人単位」へと日本社会の在り方や法制度を根本的に転換する革命運動なのです。
「選択的」夫婦別姓が導入された際の、実際上の問題点については前回もお伝えしましたが、別姓制度はいったん法制化されたが最後、どのような弊害を生もうとも、これを廃止することは容易ではありません。
民法と刑法の定める一夫一婦制度は、日本の社会秩序の基礎であり、いったん崩壊した家族の秩序を修復・再建することが至難の業であるのは、戦後から今日の状況を見ても明らかでしょう。この観点からも、夫婦別姓は容認すべきではありません。
前回もお伝えしたように、「選択的」であったとしても、制度として別姓を認めてしまうと、「氏名」の法的な性格が根本的に変わってしまうため、私たち国民一人一人や日本中の家族全体に関わる“革命的”な変革となってしまいます。
これまで以上に家族や家族制度を否定し、その絆を弱めていくと、そう遠くない将来にどうなってしまうのか、「選択的夫婦別姓」を推進する人々には何の見通しも議論もないのが実情でしょう。
■“家族の絆”を弱めないのか?
立憲民主党がツイートしたように、「選択的夫婦別姓」は家族の絆を弱めないのでしょうか。
民法752条は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定め、夫婦に同居義務を課しています。夫婦同居が、夫婦の一体感を“身体的”に感じさせるものであるとすれば、夫婦同姓は“精神的”に一体感を感じさせる作用を持つと言えます。
日本において夫婦同居と夫婦同姓は、夫婦仲を緊密にする“絆”であるとも言えるのです。夫婦同居と夫婦同姓は、桶の上下の“タガ”のようなもので、そのどちらか一つが外れても、夫婦の一体感は崩れやすいものになってしまうでしょう。
また、本来夫婦とは、「われわれ」という連帯意識のもと、社会の最小単位である家族を構成し、お互いに信頼し合い助け合って生きていくものです。
しかし、夫婦別姓は、夫婦を意識の上で「われ」と「われ」という個別的、対立的に捉えさせ、夫婦の一体感に深い溝をつくるものになりかねません。
「夫婦はもともと他人なのだから、一体感などなくても良いではないか」と考える人もいるかもしれませんが、他人だからこそ、同じ姓を名乗ることによって、夫婦としての一体感を育む必要があるのではないでしょうか。
夫婦別姓論者はよく「夫婦別姓でも“愛があれば”家族の一体感は損なわれない」などと言いますが、世の男女の愛がいかにはかないものであるかは、もはや説明不要であり、こういった主張は詭弁(きべん)にすぎないのです。
ちなみに、調査結果が発表された昨年11月18日、記者会見で選択的夫婦別姓について問われた加藤勝信官房長官は、「わが国の家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の間でさまざまな意見がある」と指摘したうえで、「国民各層の意見、国会における議論の動向などを注視しながら対応を検討していく」と、慎重な態度を示しました。
次回、「夫婦同姓を強制しているのは世界で日本だけ」「選択的夫婦別姓は誰も傷つけることなくただ幸せな人が増えるだけ」などの主張に反論してみたいと思います。
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次回は、「『選択的夫婦別姓』について考える(後編)」をお届けします。
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