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新 堕落性の構造 22

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

7 完全主義者の嘆き

◉本質は自己満足の省エネルギー型
 完全主義者の悲劇は、人間が堕落していることを知らないことと、すべての万物万象は成長期を通じて創造され、発展するという法則に違反していることです。どういうことかといえば、人間は堕落して原罪をもっているからです。だから光の当たる部分が多くなればなるほど陰の部分も増えるように、陰の部分だけを取り除くことは不可能なのです。

 先の見合いの例(参照:21)で見ると、まず自分の理想的な人を見つけることは不可能でしょう。こんな笑い話があります。ある人が花嫁を探していました。友人に「ついに理想的な人を見つけたよ」と言いますと、その友人は「それで、いつ結婚するんだ」と聞きました。その人は悲しそうに「それがダメなんだ。彼女も理想的夫を探していたんでね」というわけです。

 自分は人柄、見識、容姿、家柄等がピタリときたとしても、それは自分の欠点は棚に上げて相手にだけ100%を要求しているわけですから、相手が完全に犠牲にならない限り満足させられないことになります。そんな人がいれば人格完成者ですから文句はありませんが、人間が罪人である限り、地上には求められないことになります。

 そこにはまず、双方に欠点があることは当然として、二人で努力し合って高めていくという発想が欠けています。結婚というのは素晴らしいものです。一人ではできなかったことが、二人で力を合わせることによってドンドン開けていきます。そこに一人では考えられなかった神の力が作用するのです。だから初めから完全を求める人間は、努力をして創造していくという考えのない、怠け者です。

 完全主義とは、自分が完全を求めて努力するのではなく、相手に完全を求めて、相手が努力して築き上げた完全を横取りしようとする、ドロボウ根性があります。その上に、自分はアグラをかいて楽をしたいのです。事実、世間には人から見たら文句のつけようのない奥さんをもらいながら、不満タラタラで浮気をしている亭主がいます。こういうバチ当たりは、先の運勢は必ず悪くなっていきます。

 このように、完全主義は「統一原理」から見ると、人間には成長期があり、その間自分の努力と責任において自己を創造していく、という原則に反しています。また、成長は蘇生、長成、完成という三段階を通じて行われる、という原則に反しています。完全主義者は蘇生、長成がなくて一挙に完成級を求めていますが、これは原理にないことなので、神が働くことができません。

 逆をいえば、その考え方は非原理的ですから、サタンが作用して絶対に成功しないようにさせるのです。ですから、完全主義者はいつも願いどおりにいかず、挫折の悲哀を感じているのです。

 結局それは、今は少し欠点があっても、まず努力していけば神に導かれ、次第に完成に近づくという信仰が欠如しているのです。完全主義者は、全体のことより自己中心の理想を満足させたい人間であり、自分では努力することの嫌いな、省エネルギー型の人間だといえましょう。

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 次回は、「六割主義でダイナミックに」をお届けします。


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