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新 堕落性の構造 21

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

7 完全主義者の嘆き

◉強い完璧癖はほとんど病気
 あなたには、こういうところはないでしょうか。部屋をきれいに掃除し、きちんとしていないと、落ち着いて新聞も読めない。寝るとき、フトンが畳の目にきちんと合うように敷かれていないと、気持ちが悪いとか。

 それはすでに、完全主義病のかなり重症のほうです。こういう人は車をもっても、いつもピカピカに磨き上げ、キズがつかないように神経を張りつめています。大体こういう人は、芸術家に多いようです。日本では、芥川龍之介が代表的です。これが高じるとパラノイア(偏執狂)になりますが、そんな病的にならずとも、日常生活で経験するものはザラにあります。

 これが結婚ともなると深刻です。人生に一度の重大事ですから(もっともこのごろは結婚は何度でもするものと考えている人も多いようですが)いい相手をと、カネやタイコで探し回るのは当然のことでしょう。最近は結婚相談所というのが繁盛しているようですが、中には見合い40何回というような見合いマニアもいるそうです。ネクタイを選ぶのと比較してはナンですが、こうなると目移りして、いつももっと他にいいのがあるような気がしてダメになります。

 一概にいえないかもしれませんが、日本人は、こういう完全主義病的傾向が強いのではないでしょうか。例えば、日本人の核アレルギーもその一つといえましょう。日本は資源不足ですから原子力発電を進めなければならないのですが、日本人(といっても一部の特殊な人間ですが)の核アレルギーがこれを邪魔しています。原子力発電所はもとより幾十もの安全装置があるのですが、左翼学者たちは日本沈没のような大地震があったらどうするかとか、廃水の中に万一微量でも放射能が残るかもしれないと反発します。

 人間がつくるものですから、完全などあるはずがありません。そういう事故の確率は、飛行機事故よりはるかに少ないと思います。廃水に出るかもしれない放射能は、中共の核実験で日本に降る放射能に比べれば、お話にならないほど少ないでしょう。それは、車は事故が起こるから廃止したほうがいいという議論と同じです。事故は起こらないように努力すればいいのであって、それを理由に、便利な車をやめたら文明が止まってしまいます。

 アメリカでは町のすぐ近くに原子力発電所がありますが、みなよく理解していますから、日本みたいにギャアギャア騒ぐ人はいません。もっとも左翼学者の場合は、国民のためを思うというものではなく、ある政治意図のためですから、完全主義とは少し違うわけですが。

 それはともかく、完全主義というのはコリ性ともよく似ていますが、もっと観念的で、独善的な、死ななければ治らない病気の一種といえましょう。

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 次回は、「本質は自己満足の省エネルギー型」をお届けします。


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