家族の絆づくり 16
仕事の生きがいと家庭の生きがい

ナビゲーター:阿部 美樹

アリ型の日本人
 かつて日本人の美徳といえば、「勤労」が挙げられました。
 「アリとキリギリス」(イソップ物語)の例を取れば、日本人はアリ型であり、勤労や勉強などに没頭している時が幸福であるという価値観を持っていました。
 しかし働き過ぎで病気になったり、過労死したりするケースも増えてきました。労災として認定されただけでも年に約200人、2日に1人は過労で亡くなっている現状です。これは深刻な事態です。
 「働き方改革」という政策の下で、勤労に対する在り方を見つめ直そうという動きがありますが、まさに今、「職場生活」と「家庭生活」のバランスを考える時を迎えているのです。

経済的責任と養育的責任
 働き方を改革しようとする本来の目的は、勤労よりも休息や趣味、美食などを価値視する「キリギリス型」になりましょうということではありません。経済的豊かさを求めるという「経済的責任」だけでなく、次の世代をいかに育てていくかという「養育的責任」を果たすことに比重を置くことが大切です。
 男性として最も大切な役割は「息子・夫・父の役割」であり、女性であれば「娘・妻・母の役割」です。父母になるためには、子女に対する愛の投入による養育の使命を果たすことなのです。
 家族と一緒に過ごす時間を大切にして家庭生活の充実を図りましょう。