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家族の絆づくり 213
「目標」と「目的」の違い

ナビゲーター:阿部 美樹

目標という目印だけを追う限界
 春は入学・進学・就職・転職など、人生の新たな出発をする季節でもあります。
 ですからこの時期は、「今後どうするのか?」「どうなりたいのか?」といった、これからの歩みに対する「計画」を立てることも多いことでしょう。

 「目標を立てる」「ビジョンを描く」「目的を明確にする」など、さまざまな言い方がありますが、それぞれ違う意味を持っています。
 一般的に、計画を立てる場合は、「目標を立てる」といいます。しかしながら、目標は立てるけれども、目的を明確にしていないという人も少なくありません。

 「目標」だけでなく「目的」を明確にすることが大切です。
 目標とは、「目+標(しるべ)」と書くように、最終的なゴールではなく、ゴールに向かう「目印」に過ぎません。
 ですから、目標は「中間点・通過点」です。目的は「目指す的」と書くように「最終的なゴール」「終点」です。目的が明確になってこそ、目標が有効なものとなります。

 目的は一つですが、目標は一つの場合もあり、複数の場合もあります。
 山登りの場合、登頂するゴールに向かう過程で、3合目、5合目、7合目といった中間目標があります。
 また、マラソンのゴールは一つですが、「中間地点」というように、目安となる段階的な目標がいくつかあるものです。

動機が明確になる目的
 目的は「抽象的な意味や価値」を示すものであり、目標は「具体的な手段」です。
 目的は「目指す姿」を示すものであり、目標は目的に向かっている「数値や状態」を示すものです。

 目標だけを掲げた場合、外的な結果だけを追うことになりかねません。
 「行う手段」という目標だけでなく、「行う意味」という目的が明確になることで「動機」が正されます。
 心にモチベーションのギアが入るようになり、目先の外的な変化に振り回されなくなることでしょう。

 今一度、「何をしたいのか?」「何を実現したいのか?」「どうなりたいのか?」という目標を立てるだけでなく、「それは何のためか?」「なぜ、それをするのか?」という目的を明確にしていきましょう。