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青年よ行け、そして世界を救え
21世紀の青年運動への提言(34)

 36家庭の朴普熙(パク・ポーヒ)先生(1930~2019)による講演「青年よ行け、そして世界を救え」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。

(光言社・刊『青年よ行け、そして世界を救え』より)

世界平和青年連合(日本)創設大会記念メッセージ

19951214日(木)午後6
日本都市センターホールで開催

▲「世界平和青年連合(日本)創設大会」で記念メッセージを語る朴普熙先生(19951214日・東京)

④アメリカの危機

 皆様。
 今、道徳的危機にさらされている国は日本だけではございません。これは全世界、特に先進国全体の危機であります。物質文明の絶頂に達した西洋文明の危機でございます。物質が人間の魂をのみ込んでしまいました。今日の西洋文明は神を葬ってしまいました。ところが、西洋文明が葬ったといって、葬られる神ではありません。神は生きておられます。そして、西洋文明の没落は、目の前に迫っております。

 アメリカを例に取ってみましょう。

 1951年、私が初めてアメリカに行った時は、アメリカは地上の楽園でありました。夢のような「丘の上の町」(A city upon a hill)には、家族愛があふれ、日曜日には全国隅々に神をたたえる賛美歌が流れ、アメリカの「スーパーマン」の精神は、それすなわち、世界の正義のために犠牲を惜しまない、アメリカの象徴でありました。都市にそびえ建つスカイスクレーパー(摩天楼)は、アメリカの夢の成就でありました。人々は優しく、親切であり、他のために身を惜しまず協力する社会でありました。

 ところが、1961年、私が外交官としてアメリカに行った時は、私はまた別のアメリカを見たのでございます。1960年代からアメリカのキリスト教は弱まり始め、人本主義や利己主義が入り込んできたのでございます。「何だ! アメリカは世界の世話ばかりしているではないか。アメリカはアメリカのためにあるんだ」という思想が入り込みました。これが、「America the first」という思想でございます。そのように思った途端、アメリカは衰え始めたのでございます。

 30年という短い間に世界の人々の憧(あこが)れ、アメリカはどのように変わったでしょうか? 果たして「アメリカのためのアメリカ」は、繁栄の道を行ったでしょうか?

 今、アメリカはもう輝く世界の希望ではありません。解決できない難問題が山積みされております。その中でも倫理道徳の衰退と犯罪の増加は、目を覆うほかありません。アメリカの暴力犯罪は30年前の560パーセントに増えました。殺人、麻薬、暴動、離婚、幼児虐待、誘拐、ティーンエージャーの妊娠等、アメリカから流れ出るニュースは、信じられないものが余りにも多くあります。アメリカを愛する私は、本当に心痛く思うものでございます。

 アメリカが衰える前に、最後の努力としてジョン・F・ケネディ大統領は、1961年、アメリカの雄大な世界的使命を就任演説で語ったのでございます。

 そして、彼はまた、若い人に呼びかけました。

 “Ask not, what your country can do for you, but ask, what you can do for your country.”
 「国が、あなたたちのために何をしてあげるかを尋ねるな。あなたがたが国のために、何ができるかを尋ねなさい」と。

 これで、ケネディ大統領は、ボランティア精神の発露を若者たちに促したのでございます。

 皆様、この精神でつくり上げたのが、Peace corpsすなわち平和部隊でありました。
 アメリカの若者たちは興奮して、身を投げ打って、アフリカへ、南米へ、アジアへと向かったのです。これはたくましい行動であり、頼もしい姿でありました。

 ところが、アメリカのPeace corps運動は、失敗したのでございます。そして、ケネディ大統領が、テキサス州ダラス市で、むなしくも一発の凶弾に倒れた時、アメリカの夢は完全に消えてしまいました。

 なぜでしょうか? アメリカは世界のためとは分かっていましたけれど、すべては神のためという精神が欠けていたのでございます。すなわち自分を犠牲にしてでも神に侍るという真の愛の思想がなかったのでございます。そして、アメリカ優越主義と利己主義の虜になったのでございます。

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 次回は、「世界平和青年連合(日本)創設大会~記念メッセージ⑤ 神の愛の法則とは」をお届けします。