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「性解放理論」を超えて(23)
ライヒの思想⑤~ライヒとマルクス主義

 人類は今、神とサタンの総力戦の中に生きています。
 「統一思想」すなわち「神主義」「頭翼思想」によって生きるのか、神の言(ことば)を否定する思想を選択するのか…。
 台頭する性解放理論を克服し、神の創造理想と真の家庭理想実現のための思想的覚醒を促す「『性解放理論』を超えて」を毎週月曜日(予定)にお届けします。

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大谷明史・著

(光言社・刊『「性解放理論」を超えて』より)

三 フロイト左派を超えて
(一)ライヒ

8)ライヒとマルクス主義
 ライヒはマルクス主義者でもありました。そして彼は、マルクス主義の立場からも家庭の廃止を叫んでいます。

 マルクスによれば、社会革命の主要な課題は、家族の廃止である。……ふるい家族は、未開社会のむかしの氏族とある類似をもった組織におきかえられはじめた(※24)。

 ポール・ロビンソンが言うように、「社会主義運動と精神分析療法を並行しておこなうライヒの努力は、マルクスとフロイトの理論的統一をはかろうとする意図からでたもの(※25)」であり、ライヒは性を解放することによって、ブルジョア社会の基盤である家父長家族をなくすことができると考えていました。そしてライヒはソ連における性革命が「家族制度を根底からくずす(※26)」ことに期待をかけたのです。

 レーニンは革命の役割に関して、「共産主義は禁欲主義をもたらしてはならない。そうではなくて、みたされた愛の生活をとおして、生命と活力の楽しみをもたらさなくてはならない(※27)」と書いていました。つまり性の解放を主張していた、とライヒは言います。ところがソ連では、後に本能的な愛情生活は「一杯の水」のような、一時的なものであるとして、本能的な愛を戒めるようになったのです。その結果、この「“一杯の水理論”は、一部の青年たちの頭を、完全におかしくしてしまった(※28)」と言うのです。

 そして、「同志よ!……国家はまだまずしいので、あなた方を養ったり、子供たちの教育をしたりできない。だから、あなた方に対する忠告は、禁欲だ!(※29)」と言って、ソ連では禁欲を奨励するようになったと、ライヒはソ連を非難したのです。

 マルクス主義は、本来、性の解放と家庭の廃止を主張していました。しかし、ソ連は、性を解放し、家庭を廃止すれば、社会は崩壊し、共産党による独裁国家も揺らぐという現実に目覚めたのです。

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24 ウィルヘルム・ライヒ『性と文化の革命』(172
25 ポール・ロビンソン『フロイト左派』(49
26 ウィルヘルム・ライヒ『性と文化の革命』(167
27 同上(198
28 同上(199
29 同上(201

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 次回は、「マルクーゼの思想①~性の抑圧と資本主義」をお届けします。


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