2022.03.03 22:00
新 堕落性の構造 17
現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
阿部 正寿・著
6 身を滅ぼす不倫の愛
◉最近の人は罪意識がない
ある時、ラジオの身の上相談を聞いていたら、こんなのがありました。「29歳の主婦ですが、家に仕事に来ていた畳職人に体を許して妊娠してしまったのですが、どうしたらよいでしょうか」ということでした。私はこれを聞いてあきれ果ててしまいました。真昼の、大勢が聞いているラジオで、こんなことを相談する神経を疑いました。主人が会社で聞いているかもしれないし、第一、それが取り返しのつかない罪であるという意識が全くないのです。
ついでにもう一つ。これも主婦ですが、自分の子供が通っている学校の先生に、子供にいい点をつけてやるからと言い寄られ、不倫の仲に落ちました。ところが一向に子供の成績が上がらないので、怒って裁判所に訴えました。裁判所は、そんな人倫にもとる訴えを取り上げることはできないと、しかりました。近ごろ偏向裁判が取りざたされる中で、この裁判官はビシッと処断したわけです。それにしても、人前をはばかるようなことを裁判所に告訴するとは、常識では考えられません。
たとえ子供の成績が少し上がったにしても、成人してその子がそれを知ったなら、どう思うでしょうか。教師も教師です。こんな悪徳教師がいるから、教育の場の質が低下し、青少年の犯罪が増えるのです。
このように一般市井の生活の中で、このような不倫の関係が増加しているのが最近の傾向です。世間一般がこういうことに対して甘くなり、しかもそれが罪であるという考え方がなくなっています。ここでいう罪とは、法律によって定められたものではなく、宗教の立場からは罪とされるのです。特に、最近はセックスが野放しになり、その紊乱(びんらん)は目を覆うものがあります。こういう傾向が、犯罪に拍車をかけています。「犯罪の陰に女あり」などといわれますが、女性が悪いのではなく、乱れた性が犯罪の根となっているのです。
---
次回は、「なぜ不倫の関係が罪となるか」をお届けします。