2022.02.26 17:00
夫婦愛を育む 180
もう一度生まれ変わったら
ナビゲーター:橘 幸世
「もし生まれ変わることがあれば、またあなたと結婚します」
英語の仮定法の授業でよく見かける例文です。生徒に訳させた後、次の問題に進もうとすると、女子生徒が聞いてきました。
「ねえ、先生。先生は生まれ変わったら旦那さんとまた結婚する?」
思春期の彼女たちはそういう方面に関心が高く(男子生徒はそうでもないように見えます)、きっかけがあれば「ねえ、旦那さんとどういうふうに出会ったの?」などと聞いてきます。基本的には受け流しますが。
その時は不意を突かれた感じで一瞬止まりました。魂は永遠であり、“生まれ変わる”という発想はなかったので、長い間同様の例文を扱っていても、自分に結び付けて考えたことはありませんでした。
「生まれ変わるなんて考えたことはなかったけれど、自分はラッキーだと思っているよ。とてもよくしてもらっている」と答えると、「わ~、いいなあ」「うらやましい」と返ってきました。
「かかあ天下なんだ」という予想外の反応には「それとは違う!」と言うにとどめ、授業に戻りました。彼女たちにそちらの分野の話をしっかりしたいなぁという思いを秘めたまま。
「またあなたと結婚する」という発想は、自分の意志で相手を決める世界の話です。私たち夫婦は神様によって結ばれ、永遠の世界でも共にいられるよう地上生活で愛を育むべく努力していますので、「生まれ変わるうんぬん」には相対しづらかったのですが、改めて自分たちの関係を振り返りました。
本然の夫婦愛は、神様抜きにした男女の愛よりもはるかに強いもののはずです。ではなぜ、生徒に聞かれた時(生まれ変わることの是非は横において)「もちろん!」と出てこなかったのか。そこまで行っていない、と言われればそれまでですが…。毎日、幸せいっぱいと感じていれば違ったかもしれません。
日々お互いにいたわりや感謝の言葉を掛け合い、穏やかで楽しい結婚生活を送っている自分は間違いなく恵まれています。
娘も主人のような人と出会えたらと思ってきました。一人で車を運転している時、慕わしさが込み上げると声を出して呼んでいます。(神様以外には聞こえませんが)
それでも、先の不安や周辺にある大小の問題、まだ実現していない願い、自身の不足な歩みなどに気を取られることが多く、幸福感がそがれているのかもしれません。
ストレスは、過去における後悔や恨みと将来への不安に起因するものが大半を占めると聞いたことがあります。変えようのない過去や自分ではコントロールできない未来に囚(とら)われるのではなく、現在に焦点を合わせて生きるよう言われますね。
目の前にあるおいしいケーキを味わい切れないまま食しているとすれば、もったいないことです。
焦点を一番大切な、核である夫婦関係に当てて、プラスアルファの働き掛けを心掛け、もっともっと愛を育み味わっていきたいと思いました。
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