夫婦愛を育む 181
こんな時だからこそ愛を

ナビゲーター:橘 幸世

 私が行く美容院は全国にチェーン店を持つ、リーズナブルな価格のところです。
 美容師さんたちの入れ替わりも多く、他県出身のかたも珍しくありません。
 当然指名はできません。どの人に当たるかは運次第。カット、シャンプー、仕上げのブローは流れ作業で、大体3人のかたの手を通過します。

 その作業の中で、美容師さんの姿勢が一番伝わるのがシャンプーです。
 ある時は、とても丁寧にしてくれて気持ちよかったので「シャンプー、お上手ですね」と言うと「僕、シャンプー好きなんです」と中堅どころの美容師さん。納得です。

 別の時は、義務的に仕方なくやっている波動が、若い男性美容師さんから伝わってきました。そういう時はただ耐え忍びます(価格を考えれば多くは望めませんので)。
 彼は、「こっち、カットして」と上司に呼ばれると、「はい」とうれしそうに返事しました。

 先日は、女性美容師さんが丁寧にしてくれました。
 「お上手ですね。気持ちいいです」と言うと、心なしか一層丁寧になり、リンスをたっぷりつけてくれました。
 普段ここでは、ちゃんとつけているのかなと不安になる程度ですので、うれしいサプライズです。
 やっぱり、クレームより称賛や感謝ですね!

 温かいホスピタリティーを受けると、とてもうれしく幸せになるものです。
 当番で礼拝の受付をするときは迎える側になりますので、いろいろな表情でやってくる兄弟姉妹に気持ちよく感じてもらえるよう気を付けていますが、それに限らず常日頃から、人と接する際は笑顔や明るい声を心掛けたいものです。
 それだけで、相手は気分がアップすることがあるかもしれません。

 先日訓読していると、次の文章が心に留まりました。

 主なる神が造られた被造物が、どれほど互いに世話になっているかを見よ。昼は夜に、夜は昼に、互いに世話になっている。しかし、これらは人間たちのように、互いに告訴したりしない。……月は星に、地は天に、すべての神の創造物たちは、互いに世話になっているが、そうしながらも、互いに裁判することはなく、平和を維持している。しかし、人間は、友に借りたものをかえって強奪し、奪おうとする。(ユダヤ教典の出エジプト記から)

 ウクライナで起こっていることに連日心を痛めています。
 切なる祈りをささげる以外にできることは限られていて、もどかしくもあります。

 己の命と祖国が危険に晒(さら)されていても他者のこと(ときには敵のこと)を思いやる、かの国の人たちの姿が報じられるのを見る時、安全な環境で生かされている自分はなおのこと、出会う人々に愛の実践を心掛けていきたいと思うのです。

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