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新 堕落性の構造 15

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

5 ケチは世間を狭くする

◉節約は生き、ケチは滅ぶ
 もちろん、節約は大切なことです。吉本晴彦氏の『どケチ人生』という本に、アメリカのラスベガスで彼は、一見学生風の日本の若者がルーレットで大金をスッているのを見て、「この年代の連中がお金のありがたさを知らずに、こんなに湯水のように使っていいものだろうかと腹が立った」と書いていました。私もそれを読んで本当に腹が立ちました。少しくらい経済が繁栄したといっても、日本は無資源国です。

 もっと真剣に、節約を徳目として教育すべきだと思います。

 節約する、あるいはモノを大切にするということはモノを生かすということです。すべての万物は神により創造されたものですから、これを無駄にせず、価値あるように節約して使うことは美徳です。

 しかし、いわゆるケチは、モノまたは金を貯(た)めるということ自体に目的を置く場合をいいます。これが高じると、ツメに火を灯すような生活をして金を貯め、生涯独身で暮らし、夜中に床の下から札束を取り出し数えては「イヒヒ……」と笑うようになります。こうなると金以外何も信用できなくなり、金を有意義に使うという本来の目を忘れ、ただ貯めているという安心感だけのために生きているわけです。

 これは拝金主義で、人間の信頼とか愛より金を大切にする、本末を転倒した誤った観念にとり憑(つ)かれているといえましょう。これは堕落性本性の主管性転倒の現れです。お金はあの世に持っていくわけにはいきません。結局本人はその罪のゆえに金を使うことを許されず、ドラ息子が放蕩してしまうというのがオチです。

 ケチは人に与えませんから、人の信頼とか協力を得ることはできなくなります。金は天下の回りものといわれるように、結局は人間を通じて入ってくるものですから、人間との関係が切れてしまえばお金も回ってこなくなります。そうして、ついには滅びの道を行くことになります。それは、人間が主体であり、お金は対象であるという原理を知らないからです。

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 次回は、「お金は心の動きに従って流れる」をお届けします。


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