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新 堕落性の構造 12

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

4 血気怒気について

◉思わぬ方向に運ばれる
 怒りとは、いったいどんな現象なのでしょうか。

 怒りのタネとなるのは、不平不満とか許せない心、正義心、その他もろもろの動機がエネルギーとなります。しかし、そのエネルギーだけでは怒りになりません。問題はエネルギーの出方、すなわち爆発の仕方なのです。

 人間は普通、怒りの心情はもっていますが、それは人間関係や、倫理道徳の力で抑制されています。この抑えている心を本心と呼び、怒りの感情を邪心と呼びましょう。

 平静な状態では、本心が邪心を抑えているわけです。一方が他方を抑えている状態を、「統一原理」では主管といいます。この場合、本心が主体となって邪心を対象として主管しているということになります。

 運転手が車を運転しているのと同じです。この場合も、人が主体で車は対象です。人が車をコントロールできなくなるとサァ大変、交通事故を起こしてしまいます。これと同様に、本心が邪心の怒りを抑えきれなくなって主管が転倒した状態が怒りです。こうなるとカンシャク玉が爆発し、大変なことになるわけです。

 よく新聞などを見ていると、殺人犯が、「ついカッとなってやった」と自白しています。しかし殺されるほうにしてみれば、「ついカッとなった」では、たまったものではありません。安全標語に「カッとなる心の動きが事故のもと」とありますが、全くそのとおりです。自分をコントロールできない人ほど、そうなりやすいのです。

 怒りの心は、程度の差はあっても、万民だれでもあるものです。これは人類共通の罪、堕落性の一つなのです。天使長が堕落するとき、自分の本分(存在位置)を離れてエバを誘惑し、サタンになってしまいました。その結果、人間に引き継がれた血統的罪の一つなのです。

 だから怒り狂ってカッとなると、自分を忘れてしまうのです。それは、そこにサタンが作用して働くからです。

 大臣といえども、カッとなって失言すれば言質を取られ、その任を失ってしまいます。立派な先生でもカッとなれば、先生としての人格を失ってしまいます。恐ろしいのは、怒りの罪を犯すと、自分ではどうにもならない力によって、思わぬ方向に結果が運ばれていってしまうことです。浅野公や信長公、モーセの例を見ても明らかなようです。日常生活においても、カッとなって言った言葉で引っ込みがつかなくなることは、よくあることです。

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 次回は、「怒りのパターンを見極める」をお届けします。


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