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新 堕落性の構造 9

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

3 嫉妬について

◉他と比較する時に起こる作用
 嫉妬(しっと)の構造を分析してみましょう。

 日本には「嫁いびり」という言葉があります。母と息子が仲良く暮らしていました。そこに息子に嫁が来るようになると、息子の愛は母親より嫁のほうへ向かうようになり、母親は寂しくなって、幸福そうな嫁をいじめるという筋書きです。ここではまず初めにある幸福の状態があったことが前提になります。そこへ嫁が来て、自分よりも息子から愛されるのを見て、自分と比較し、自分のほうが愛されないと感じることから始まります。

 それはなぜでしょうか。人間の堕落がそれから起こったからです。「統一原理」によれば、神は世界をつくるためにまず天使をつくられ、彼らの協力を得て世界を創造されました。最後に神の目的である人間を造られました。神はすべての愛を込めて人間始祖アダムとエバを育てられ、その様子を見ていた天使は、神が人間ばかりを愛されるので寂しくなり、ついに嫉妬して人間を神の見ていない所で誘惑し、堕落させてしまったのです。

 私たち人間は、その堕落したアダム・エバの子孫ですから、みな嫉妬する心を血統的にもっていて、自分ではどうすることもできないのです。このように堕落は、神の愛を自己中心的に奪おうとして起こったものです。愛は女性の生命です。だから嫉妬は、愛の問題について一番起こります。これを整理してみましょう。

 まず第一に、自分がある種の満足を得ている状態があります。そこへあとから、自分より高い立場に立ち、愛される人が来ます。

 第二に、その人と自分を比較して、自分のほうが幸福が少ないと感じます。これを愛の減少感といいます。

 第三に、減少感を埋め合わせるために自分が努力して高めていくのではなくして、その人を自分と同じか、それ以下に引き下ろしたいという欲望にかられます。それがすなわち嫉妬なのです。

 だから嫉妬は、他と自分を比較分離し、他を引きずり下ろす破滅の衝動なのです。

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 次回は、「逆の経路をたどって乗り越える」をお届けします。


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