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新 堕落性の構造 8

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

3 嫉妬について

◉他人の幸福を喜べない心
 源氏物語の「桐壺(きりつぼ)」の巻に、桐壺の更衣が御帝(みかど)にひどく愛されて光源氏をはらんだので、嫉妬(しっと)した女御(にょうご)たちが、渡り廊下に汚物をまいて、桐壺の着物のすそが汚れるような悪さをして、いじめたとあります。桐壺は、あまりにいじめられて、光源氏を出産したのち、体が弱って死んでしまいました。女の嫉妬ほど恐ろしいものはないというお話です。源氏の昔から、かくのごとく女性に嫉妬はつきものだったのです。

 かつて美空ひばりが、ファンの一人に硫酸を顔にかけられたことがありました。これもひばりに嫉妬した女性がやったことで、そういえば長谷川一夫も顔を切られたことがありました。

 何もそんな例ばかりもち出さなくとも、自分の身近なところで毎日起こっています。

 ある奥さんは、主人が会社で女性をつくっているのではないかと疑って毎日電話をして、ついに主人がノイローゼになったという話もあります。こんなことは日常茶飯事に起こっていることであり、だれの心にでも作用している堕落性で、ただ程度の違いがあるだけです。

 嫉妬というと、女性の専売特許みたいに考えますが、そうではなく、人間だれにでもあるもので、現れ方が異なるだけです。会社などで、自分よりあとに入社した人が、自分を追い越して先に課長になったりすると、目の前が真っ暗になり、夢も希望もなくなって、ネオンまたたく夜の街でノレンをくぐり、ヤケ酒をあおるという結果になります。

 「隣に倉が建てば腹が立つ」という言葉がありますが、特に農村あたりでは定住性が高いので、お互いをよく知っています。だから隣が立派な家を新築したりすると、それがしゃくにさわって仕方がないということに相成ります。とにかくそれは嫉妬する心の現れですが、要するに嫉妬するということは、他人の幸福を心から喜んであげることができない心なのです。できればそれを引き下ろしたいと願う心です。

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 次回は、「他と比較する時に起こる作用」をお届けします。


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