家族の絆づくり 14
感情をコントロールできず虐待する親

ナビゲーター:阿部 美樹

愛する子供に対して怒りをぶつけてしまう親
 「児童虐待」で警察から児童相談所に通告された子供は65431人(2017年:過去最多)で、前年よりも11204人(20.7%)増加しています。児童虐待による検挙者数も増え続けて、5年前に比べて約2倍、10年前と比較してほぼ3倍増となっています。年間約100人の子供が児童虐待によって命を落としているという深刻な状況です。
 このように親子関係の亀裂が著しくなっている原因やきっかけは何でしょうか? それは親たちの心に破壊の衝動である「怒り」があふれているからです。

感情をコントロールする「6秒ルール」
 怒りは破壊のエネルギーであり、怒りが外に向かえば暴力となり、自分の体に向けば心身症という病気になり、心に向かうとうつ的になって妄想、幻聴、幻覚などの症状が出たりします。この怒りのコントロールが難しいのです。
 自伝『虐待の淵を生き抜いて』の著者・島田妙子さんは、怒りなど「自分の感情に責任をもつ」ことの大切さを伝えています。怒りが沸点に達すると、脳からアドレナリンが分泌されますが、その時に深呼吸し、6秒間待つだけで、アドレナリンの分泌が収まり、冷静さを取り戻せると説明しています。
 被害者だけでなく、加害者となって苦しんでいる人を救うことから、児童虐待の解決の糸口を見いだせるかもしれません。