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新 堕落性の構造 5

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

2 無視されるということ

◉無視されると腹が立つ
 だれでも人は、自分が無視されると腹を立てます。「私には何のアイサツもない」とか、「私に一言相談してくれればいいのに」とか、「人をバカにしている」とか言って怒ります。

 無視されると、なぜ腹が立ったり、悲しくなったりするのでしょうか。無視されるということは、どういうことなのでしょうか。

 存在していても存在しているように扱ってくれないとき、当然相談すべき立場にいながら相談してくれないとき、自分はこれくらいの実力があると思っているのに、それを評価してくれないとき、自分がノケものにされるとき、私たちは無視されたと感じるでしょう。

 無視とは、字義どおりに解すれば、存在するものを存在しているように見ないということになります。存在は一人ではできません。「統一原理」ではこのことを、授受作用によって存在が保たれると教えています。授受作用の原理により、生命は維持されているのです。

 ところで人間は、心と体からできています。そして心のほうが主体で、体はその対象となっています。だから、私たちが気持ちが良くないときには、どんなに美味しいものを食べても、美味しいと思わないのもそのためです。それは、主体である心が喜んでいないからです。

 さて、「無視される」とか、「相手にされない」とか、「軽く見られている」ということは、意識的に心の授受作用をしないということです。生命の主体は心ですから、心で人と授受できなくなれば、いかに体が存在していても、次第に苦しくなって耐えられなくなっていくのです。

 神は、人間を個性真理体として創造しましたから、その人にはその人だけにしかない価値があり、それは他のものと代えることができません。ゆえに、一人の人間の価値は唯一であり、絶対であり、永遠です。だから「無視される」ということは、その価値を否定されることを意味し、したがって、その生命を否定することにつながるのです。ゆえに人は、無視されると怒るのです。

 人は、このことを理論的に分からなくても、生命維持作用として生理的に反発するのです。

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 次回は、「無視されて怒るほうも悪い」をお届けします。


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