2021.11.24 17:00
中和新聞セレクト Vol.2
真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道
統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第2弾は「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」(ナビゲーター:稲森一郎氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2015年10月~2017年5月に全14回で配信されたシリーズです。
第13回 第2回「鮮鶴平和賞」受賞者〈1〉
本シリーズでは、人類が直面する様々な地球的規模の問題にスポットを当てながら、その問題点の本質を解説するとともに、真の父母様(文鮮明先生・韓鶴子先生御夫妻)の平和思想に基づいた方向性を提示します。2017年2月3日、第2回「鮮鶴平和賞」授賞式が韓国で開催され、難民の救援活動に取り組む2人が受賞しました。2回目となった鮮鶴平和賞授賞の背景と、その受賞者について、2回に分けて取り上げます。今回はイタリア人医師のジーノ・ストラーダ氏です。
イタリア人医師 ジーノ・ストラーダ氏 紛争地帯で800万人 緊急医療活動
■世界的な難民問題に取り組む2人が受賞
2017年2月3日、韓国・ソウル市内のホテルで、第2回「鮮鶴平和賞」授賞式が開催されました。鮮鶴平和賞を受賞したのは、難民の医療救護活動家であるイタリア人医師のジーノ・ストラーダ氏と、アフガン女性教育家のサケナ・ヤクービ女史の2人です。
ちなみに第1回鮮鶴平和賞の受賞者は、キリバス共和国のアノテ・トン大統領(当時)とインドのモダドゥグ・ヴィヤイ・グプタ博士でした。第1回が「環境問題」をテーマにした人選であったことに対し、第2回は「難民」をテーマにした選定が行われた結果、ストラーダ氏とヤクービ女史が選ばれました。
ストラーダ氏は、国境を越えた人類愛によって25年にわたり、紛争の最前線である、中東およびアフリカ地域において緊急医療救護活動を展開。約800万人の生命を救った功績が高く評価されました。
もう1人のサケナ・ヤクービ女史は、戦争で廃墟となったアフガン難民キャンプで、教育による難民再定着の解決策を提示した功績が大きく認められました。
鮮鶴平和賞委員会は、この2人の受賞理由について、2016年11月29日、米国・ワシントンDCで発表した際、以下のようにコメントし、その業績をたたえています。
「世界的な難民問題が日々深刻化しているこの時期、2人の受賞者は、難民の生活を根本的に再建するために、最も基礎的な人権である『医療を受ける権利』と『教育を受ける権利』の保障のために先頭に立って尽力した、当代の偉人である」。
■ストラーダ氏「人の命に差別はない」
ジーノ・ストラーダ氏は、彼自身について「外科手術のアニマル(Surgical animal)」と語っています。
それは、これまで紛争地域で治療室に運ばれた人々を昼夜の別なく、外科手術によって数多く救ってきました。彼が率いる緊急医療グループのNGO組織「EMERGENCY(エマージェンシー)」によって命を救われた戦争犠牲者と難民たちは実に800万人にも上ります。
その功績について英国の「ガーディアン紙」(2013年6月14日付)は、「800万人以上の最貧困にあえぐ戦争犠牲者たちの命を救ってきたが、それは想像を絶する人数である」と書きながら、それにもかかわらず、ストラーダ氏は「称賛されない英雄(Unsung hero)」になっていると評しました。
「エマージェンシー」は16か国に支部を置き、60か所以上の医療施設を有しています。
人権は、すなわち「平等、社会的責任、質」に立脚するものでなければならないとのモットーを掲げるストラーダ氏は、「人の命に金持ちも貧しい者もなく、いかなる差別もない」として、一刻も早く治療を必要とする難民でごった返す地域に赴き、全力投入してきたのです。
アフリカのルワンダやスーダンの内戦、シエラレオネのエボラ出血熱、アフガン戦争、イラク戦争、カンボジア、中央アフリカ、欧州難民危機など、これまで関わってきた緊急医療の現場は数知れません。
それは正に「献身的医療行為」であり、「金銭的医療行為(お金儲け)」ではありません。強靭な博愛精神と深い人類愛があってこそできる行為です。
ストラーダ氏は、イタリアのテレビ番組で「私は平和主義者というのではなく、ただ戦争が嫌なのです」と語っています。それは戦争で犠牲になり、難民生活で治療を受けられない人々、すなわち子供や女性、老人といった多くの弱者が傷を負う戦争の悲惨さを、誰よりも多く目撃し、現場で治療に当たった外科医としての偽らざる実感なのでしょう。
■犠牲精神によって、ために生きた実績だけが歴史に残る
文鮮明先生が語られた言葉に、以下のメッセージがあります。
「歴史的な伝統として残すことができる実績とは何でしょうか。犠牲精神によってために生きた実績だけが、今日の世界に残されてきました。そのような人々が、聖人として、偉人として、忠臣として、あるいは孝子として残されました。このような犠牲精神のもとでのみ功績が残るのです」(『平和経』196頁、「ために生きる生活で平和世界を創建しよう」より)
ガーディアン紙が語ったように、ストラーダ氏は、「称賛されない英雄」として、人命救助の壮絶極まりない人生を、戦争犠牲者と難民生活者に向き合いながら送ってきたのですが、世界の人々は、ストラーダ氏のような生き様よりも、別の事柄に多くの称賛を寄せてきました。
しかし、瀕死状態のわが子を見守る母親が、執刀する博士のそばで、「神様、どうか子供の命を助けてください」と祈る姿に応えるかのように、博士が懸命な施術で救助に成功すると、その母親には、尽くせない感謝の言葉と喜びの涙があふれ出るのです。
そのような数々の経験を積んできたストラーダ氏に対する神様からの贈り物が、このたびの「鮮鶴平和賞」ではなかったでしょうか。ストラーダ氏の喜びは、この上ないものであったに違いありません。
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次回は、「アフガン難民の教育で多大な貢献」(最終回)をお届けします。
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