2021.12.01 17:00
中和新聞セレクト Vol.2
真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道
統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第2弾は「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」(ナビゲーター:稲森一郎氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2015年10月~2017年5月に全14回で配信されたシリーズです。
第14回 第2回「鮮鶴平和賞」受賞者〈2〉
本シリーズでは、人類が直面する様々な地球的規模の問題にスポットを当てながら、その問題点の本質を解説するとともに、真の父母様(文鮮明先生・韓鶴子先生御夫妻)の平和思想に基づいた方向性を提示します。今回は、第2回「鮮鶴平和賞」授賞式(2017年2月3日、韓国)における2人目の受賞者として、アフガニスタン女性教育家のサケナ・ヤクービ女史を紹介します。
■難民キャンプで教育による再定着の解決策
2017年2月3日、第2回「鮮鶴平和賞」受賞者である、アフガニスタン女性教育家のサケナ・ヤクービ女史は、戦争で廃墟となったアフガン難民キャンプで、教育による難民再定着の解決策を提示した功績が大きく認められ、受賞の栄誉に輝くことになりました。
地理的に見ると、アフガニスタンは中央アジアに位置し、東西の文明の岐路に当たります。そのため、古来よりこの地は戦略的に強大な国家群が干渉し、ぶつかり合うという戦争多発地域になってきました。
現在では、険しい山岳地帯に約3000万人の人口を擁し、国家が運営されていますが、戦火が収まる気配がなく、その結果、貧困と病気が蔓延し、家を失い、生活を失った多くの人々が難民キャンプで暮らすという悲惨な状態が広がっているのです。
1979年から89年まではソ連(当時)とアフガニスタンが激しい戦争を繰り広げ、1989年から2001年までは内戦、2001年から2014年までは米国とアフガニスタンの戦争というように、最近のアフガニスタンは、戦争の惨禍に打ちひしがれた生き地獄の様相を呈しています。
この悲惨な状態の中に、感動を呼ぶ「難民教育の母」が登場しましたが、その人物が今回の鮮鶴平和賞の受賞者であるサケナ・ヤクービ女史です。
■教育を与えない人権蹂躙こそ、未来を閉ざす
過去30年で見ると、世界の難民発生の最悪の地域が、実にアフガニスタンという結果が出てきます。その数は1170万人で、世界の難民総数の4分の1に当たります。苦難と絶望がアフガニスタンを覆っているのです。
あすへの希望を見出すことができません。難民の90パーセントは女性と子供です。男たちは戦争で命を落とし、あるいは戦場の最中にあり、数知れない女性たち、そして子供たちが難民キャンプの中に残されました。
5人、あるいは8人といった子供たちを抱えながら、途方に暮れて泣いている女性とその子供たちの姿があります。教育も娯楽も、生きていく場所さえない、荒廃した状態が広がっているのです。
ゼバという1人の女性の証言によれば、ソ連・アフガン戦争時に4歳で難民になり、家族全員が難民生活に追いやられたと言います。
父親はタリバン(イスラム原理主義組織)に捕まり、激しい拷問の末に死亡。さらに兄弟たちの1人は誘拐され、今も行方不明のままです。
そして、もう1人の兄は麻薬中毒になり、麻薬を買うお金欲しさに、ゼバを別の麻薬中毒者に売り飛ばしたと言います。さらに姉は16歳で強制的に結婚させられ、奴隷のような生活を送っていると話します。
多かれ少なかれ、このような話がアフガニスタンの人々の中では当たり前のように聞かれるのです。このような状況の中、アフガン女性の87パーセントは文字も読めず、学校教育を受けていない悲惨な状況に置かれています。
「教育こそが人間としての権利である」という認識からすれば、アフガニスタンの状況は最悪と言ってもよいでしょう。
ヤクービ女史は、銃や戦車で社会を変えることはできず、「教育にこそ社会を変えることのできる真の力がある」という信念を持っています。
しかし、教育を与えると言っても、アフガニスタンでは学校も教師も簡単に信じることができません。なぜなら、彼らはみな共産主義者であるからと言います。
ヤクービ女史は1995年、全人的な教育(Holistic Educational System)を目指すアフガン学習研究所(AIL)を設立し、これまで1300万人を教育してきました。その70パーセントは女子です。
その驚くべき実績の社会的評価に対して、今回、鮮鶴平和賞が贈られたことは本当に喜ばしいことです。
■女は弱し、されど母は強し
韓鶴子総裁(真のお母様)が、1992年5月11日、韓国の仁川で語られたメッセージがあります。
「『女は弱し、されど母は強し』という言葉があります。女性自体はこの上なく弱いのですが、女性が母として愛の主体的な立場に立ったり、または妻や娘として愛の中心的役割を果たしたりするときには、女性はこの上なく強くなるのです」(『平和経』918頁)
このように、「愛の主体的な立場」「愛の中心的役割」に邁進する女性は本当に強いというのですから、艱難にひるまないヤクービ女史の強さは、正に苦難の中に置かれた祖国アフガニスタンの母親たちと子供たちに対して、愛の主体的立場に立った強さを実践したものであると言うことができます。
その愛の形が「教育」という明るい未来を拓く一大事業に集約されて実を結んだことは、アフガニスタンの未来が、教育を受けた子供たちから確実に始まっていくことを約束しています。
教育を受けた女性たちが、今度は自分が立派な教師になっていくとの自覚に立って巣立っていく姿を見ながら、ヤクービ女史は、アフガニスタンの未来に希望を感じています。鮮鶴平和賞がどれほどヤクービ女史を慰労し励ましてくれたことでしょうか。さらにヤクービ女史の活躍が晩年を飾ることでしょう。
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「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」は今回が最終回となります。次回からは、第3弾「生活信仰のすすめ」(家庭カウンセラー 内田由喜氏)のシリーズをお届けします。
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