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信仰と「哲学」86
コロナ禍世界の哲学(10)
文鮮明師のメッセージと倫理資本主義

神保 房雄

 「信仰と『哲学』」は、神保房雄という一人の男性が信仰を通じて「悩みの哲学」から「希望の哲学」へとたどる、人生の道のりを証しするお話です。同連載は、隔週、月曜日配信予定です。

 文鮮明師は1991年8月28日、韓国・ソウルで開催された世界平和連合創設大会で、「世界平和への道」と題した講演を行いました。

 最後に、以下のようなメッセージを力強く訴えて締めくくったのです。

 「9年たてば、紀元2000年が来ます。この2000年という峠は、私たちが生きている時に、偶然に来るのではないのです。これは歴史の新しい転換点です。新しい歴史が胎動しています。平和の21世紀がやって来ます。しかし、その平和は、やって来るのではありません。神と人間が協調して、与えられた責任分担を果たすときにだけ、可能なのです。そうしようとすれば、私たちは残された9年の間に平和を阻害する全ての要素を取り除く作業をしなければなりません。

 新しい時代である21世紀は共義の時代です。
 新しい時代である21世紀は、物質が牛耳ることのない、精神と霊の時代なのです。
 新しい時代である21世紀は、神人一体になって生きる時代です。
 新しい時代である21世紀は、人のために生きることが、自分のために生きることよりも、もっと永遠の価値があることを悟り、生きる時代です。
 利己主義は衰退し、共生、共栄、共義の利他主義がついに凱歌を奏する時代、それが明け行く21世紀なのです。

(略)

 光り輝く新しい日が、私たちの前に待っています。私たちは今日、使命感に燃えて立ち上がらなければなりません。最後のひとしずくの汗と涙と血を絞って実現しなければならない歴史的使命が、私たちを呼んでいます。その最初の仕事は、神を私たち個人、家庭、社会、国家、世界に迎えることであります。

 天が共にある時、これに敵対するものはいるでしょうか。
 尊敬する同志であり、兄弟である皆様!
 人類の前に置かれた崇高な事業! 恒久な「世界平和」定着の召命の前に、皆が立ち上がって、光り輝く世界に向かって、共に前進しましょう。
 神に仕え、世界の真の平和を実現しましょう」

▲講演する文鮮明師(1990年2月1日)

 これは30年前に語られたメッセージです。

 「その平和は、やって来るのではありません。神と人間が協調して、与えられた責任分担を果たすときにだけ、可能なのです。そうしようとすれば、私たちは残された9年の間に平和を阻害する全ての要素を取り除く作業」が十分できなかったために、今日の世界の現状があるのです。

 マルクス・ガブリエル氏が述べている、「企業は利他的であるべきであることを訴え、倫理資本主義を模索しなければならない」との主張は、文鮮明師の理念にようやく時代が追い付きつつあることを示しています。
 しかしそれもまだ始まったばかりであり、人間の責任分担として平和を阻害する要素を取り除く作業があまりにも多く残っているのです。