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「性解放理論」を超えて(3)
性解放理論の展開

 人類は今、神とサタンの総力戦の中に生きています。
 「統一思想」すなわち「神主義」「頭翼思想」によって生きるのか、神の言(ことば)を否定する思想を選択するのか…。
 台頭する性解放理論を克服し、神の創造理想と真の家庭理想実現のための思想的覚醒を促す「『性解放理論』を超えて」を毎週月曜日(予定)にお届けします。

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大谷明史・著

(光言社・刊『「性解放理論」を超えて』より)

一 性解放理論の台頭
(二)性解放理論の展開

 倫理、道徳の中で核心となるものは性倫理ですが、今日、キリスト教をはじめとする既成宗教が無力化する中で性倫理は大きく揺らいでいます。

 フロイトはダーウィンの影響を強く受けていました。ダーウィンによれば、人間は人間以外の他の生物とは異なる特別な存在ではなく、猿から進化したものであり、同様に、フロイトは、人間が動物と根本的に異なる霊的な存在ではなく、性的な本能に操られた動物的な存在であると主張したのです。

 そのようなフロイトの主張に基づいて、ウィルヘルム・ライヒ(Wilhelm Reich)、ハーバート・マルクーゼ(Herbert Marcuse)に代表されるフロイト左派の性解放理論が生まれました。やがて性解放理論に裏づけられたフリーセックスの性革命が、1970年代のアメリカを中心として、世界に広がっていったのです。その結果、エイズの蔓延(まんえん)する世界となりました。そして今、そのような危機的状況を迎えて、人々はようやく性解放の誤りに目覚めようとしています。しかし、従来の宗教や倫理によっては、性解放思想を克服することは容易ではなく、性解放の風潮は依然として世界中で猛威を振るっているのです。

 愛と性は、道徳や倫理によって規制されるべきではないというのが、性解放理論の主張です。つまり道徳や倫理には確固たる根拠はなく、無意味なものであって、廃棄せよと言うのです。性解放理論は直接的にはフロイト左派によるものですが、その理論の母体となったのは、言うまでもなく、19世紀のマルクス主義、ダーウィニズム、フロイト主義の無神論であり、唯物思想でした。さらにこれらの19世紀の無神論・唯物論の原型となったのが18世紀の啓蒙(けいもう)思想でした。言い換えれば、18世紀の啓蒙思想は19世紀の無神論・唯物論の到来を準備したのです。その中心的人物がジャン・ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau)でした。

 以下にフロイト左派の性解放理論の母体となった思想的な背景を概観します。

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 次回は、「ルソーの啓蒙思想」をお届けします。


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