「性解放理論」を超えて 2
現代思潮の二大潮流

「性解放理論」を超えて（2）
現代思潮の二大潮流

　人類は今、神とサタンの総力戦の中に生きています。
　「統一思想」すなわち「神主義」「頭翼思想」によって生きるのか、神の言（ことば）を否定する思想を選択するのか…。
　台頭する性解放理論を克服し、神の創造理想と真の家庭理想実現のための思想的覚醒を促す「『性解放理論』を超えて」を毎週月曜日（予定）にお届けします。

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大谷明史・著

一 性解放理論の台頭
（一）現代思潮の二大潮流

　19世紀に西洋社会において、神を否定する強力な無神論、唯物論が生まれ、その思想は、あっという間に、茨のように全世界を覆っていきました。1859年はその象徴的な年でした。すなわちカール・マルクス（Karl Marx）が『経済学批判』を著し、唯物弁証法に基づいて唯物史観の公式を提示すると同時に、後に『資本論』として体系化されるマルクス主義経済学の骨子を発表したのです。マルクス主義は神の存在を根底から否定するものでした。同じ年に、チャールズ・ダーウィン（Charles Darwin）が『種の起源』を著し、キリスト教の創造論を否定し、生物および人間は弱肉強食の生存競争を通じて進化したものであると主張しました。

　そして彼らから少し遅れて19世紀末にジークムント・フロイト（Sigmund Freud）が登場しました。フロイトは、人間の心を根底から揺り動かしているものは、リビドーという性のエネルギーであると言い、人間の霊性を否定する本能的な人間観を提示しました。それは生理学的唯物論というべきものでした。

　中世から18世紀に至るまで、西洋社会において、キリスト教は絶対的な指導的精神であり、人々は無条件に神とキリストを信じ、教会の教えを柔順に受け入れていました。14世紀から16世紀に台頭したルネサンスは、中世の束縛から人間精神を解放しようという運動でしたが、人々の神への信仰は揺るぎないままでした。18世紀の啓蒙（けいもう）思想において、無神論と唯物論が展開されましたが、それはキリスト教精神を揺るがすまでには至りませんでした。しかし、19世紀の無神論、唯物論は、キリスト教精神を根底から揺るがすものであり、西洋社会のみならず、全世界を覆い尽くす勢いで広がっていったのです。

　カール・マルクスによって築かれた暴力革命の共産主義思想は、20世紀に至り、レーニンの指導するボルシェビキ革命として実を結び、地上に初めての共産主義国家「ソ連」が誕生しました。ソ連は宗教の根絶を公然と宣言する悪の帝国でした。そして歴史上、最大の独裁者であるスターリンのもとで、ソ連帝国は世界共産化を目指し、全世界を震撼（しんかん）させていったのです。そして第二次世界大戦の終了とともに、共産主義は東ヨーロッパとアジアに広がり、正に世界をのみ尽くそうとする勢いになりました。

　かくして20世紀を通じて、世界赤化を目指す共産主義諸国と、共産主義の攻勢を防ぎながら、神のもとでの理想世界を目指す民主主義諸国との間に、熾烈（しれつ）な冷戦が展開されたのです。しかし、20世紀末に至り、共産主義世界の中枢であった悪の帝国ソ連は崩壊しました。

　今日、共産主義の輝きは色あせましたが、その闘争的な唯物思想は、様々な形に姿を変えながら、根強く生き続けています。また共産主義思想の良きパートナーであった進化論は、相変わらず世界中で科学的真理であるかのように受け入れられています。そして進化論は神を否定する唯物思想の温床となっており、今なお生き続けている共産主義思想を支えているのです。さらに、キリスト教の性倫理を否定するフロイト主義は、やがて左派の性解放理論となって、マルクス主義、ダーウィニズムと共に、今日の世界的な倫理、道徳の崩壊現象に大きく加担しているのです。

　それではなぜ19世紀に、世界的に影響を及ぼす無神論、唯物論が生まれたのでしょうか。それは神の摂理から見るとき、20世紀が終末の時代であったからです。すなわち、20世紀を超えて、21世紀から新しい時代──新しい天と地──が始まるのであり、そのことを知っていた、この世の神であるサタン（悪魔）が、永遠に世界を支配し続けたいという野望のもとに、神の摂理を妨害するために、あらかじめ19世紀に世界的に茨の種を蒔（ま）き、世界を覆い尽くすようにさせたのです。すなわち、マルクス、ダーウィン、フロイトの背後から、彼らを操って、彼らが強力な無神論と唯物論を構築するように導いたのです。かくして20世紀は神を否定する精神が世界を覆う世紀となりました。

　しかし、一方では、この暗い力を退けて、愛と真理の理想世界を実現しようとする、新しい神の摂理が始まりました。そして、20世紀後半から21世紀にかけて、神を否定するサタン側の思想と、それに対抗する神側の思想が激しく対決する時代となったのです。

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　次回は、「性解放理論の展開」をお届けします。