孝情を育む 18
大切な三つの時間

家庭教育部長 蝶野知徳

 『ムーンワールド』で連載中の蝶野知徳・家庭教育部長による子育てについてのエッセーを、Blessed Lifeでも隔週でお届けします!
 孝情を育む子女教育を考える上で、どんな思いで向き合えばいいのかを端的に分かりやすく解説します。

望んでいることをしてあげる
 すべての親が子供に「こうあってほしい」と願う思いがあると思います。しかし、幼児期においては、子供がお母さんに「こうあってほしい」と願っていることを満たしてあげると、心は良く育ちます。この子は「どのようなお母さんを求めているのか?」という点に焦点を当てて関心を持つのが良いのです。そうすると、子育ては難しいものではなく、ずっと楽しいものであることが分かると思います。

 子育てを比較的楽にやっているお母さんを見ると、心に余裕があります。その秘密を考えてみると、子供に対する“要求心”が小さいことが分かります。“要求心”は子供の心を無視しがちになります。また、怒りなどの感情が誘発されやすく、過度な心配や、過干渉につながってしまうことも多いようです。子供を育んでいくことが難しいのではなく、親が自身の心を主管することのほうが難しいのかもしれません。

 まずは、親自身が心を楽にすることです。楽になるためには、子供に望むのではなく、子供が望んでいることをして喜ばせ、お母さん自身も喜んで楽しむようにするのです。

子女が望んでいる三つの時間
 仕事や家事で忙しい時でも、特に三つの時間を大切にすることをお勧めします。この三つの時間を大切にすれば、子供は満たされていくからです。

 まず一つ目は食事の時間です。必ず目線を合わせながら、笑顔でおいしいねと共感し合うことが大切です。食事の支度の時間は難しくても、食べる時間は授受作用の時間と決めておくといいでしょう。

 二つ目はお風呂の時間です。湯船におもちゃを浮かべたり、運転ごっこをしたり、いろんなことをして遊んであげてください。スキンシップの大切な時間でもあります。

 三つ目が寝る時間です。絵本を読んであげるのもいいですし、素話も良いと思います。話の構成にあまりこだわらず、お母さんが思いついた作り話を寝入りにしてあげるのです。子供を主人公にした冒険ものでもいいでしょう。子供は喜んで聞きながら、自然に寝てしまいます。

 子供と遊ぶ時間がないという人も多いと思いますが、この三つの時間さえおさえて、しっかりと向き合い、お母さん自身も一緒に喜んでいれば、子供は十分に愛を感じて満たされていきます。

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 次回は、「お友達は神様の子じゃないの?」をお届けします。