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家族の絆づくり 187
第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」~傾聴と共感

ナビゲーター:阿部 美樹

相手を理解する「傾聴」
 個人的な目標達成という成功だけでなく、関係性の中で互いに目標を達成する成功はさらに大きな喜びです。その場合、その関係性が「信頼関係」になることが大切です。

 信頼関係を築くためにはどのようにしたらよいでしょうか。
 最も大切なことは、まず「相手を理解すること、認めること」です。人は誰もが「理解されたい、認められたい」という欲求を持っているからです。

 そのためには、「相手の話を聞くこと」が必要です。人の話を聞くことは嫌だという人はいたとしても、自分の話を聞いてもらうことを嫌がる人はいません。自分の話をすればするほど心が開放されます。積極的に前向きに心を込めて聞くことを「傾聴」といいます。

 傾聴することは、ただ単に相手の話を聞くだけでなく、関係性を良くする効果があります。傾聴する人には敵がいなくなるだけでなく、やればやるほど信頼関係が深まり、味方が増えることになります。

 このように、「傾聴」を通して「相手を理解すること」ができます。

相手を認める「共感」
 さらに、「相手を認める」ためには、「共感」が必要です。
 共感とは、相手の立場に立って共に感じることです。相手の話を聞きながら、その話の良しあしを「評価」したり、「批判」したりすれば、気分が悪くなる可能性もあります。

 時には話を聞きながら、良かれと思って「それは、こうした方がいいよ!」と「助言」する人もいます。しかし話し手は案外、答えは求めていないことが多いものです。ひたすら相手の心に寄り添いながら共感することは、承認されているという心地よさがあります。

 共感と似ているけれど違うのが、「同感」と「同情」です。

 同感は、「そうそう! 私もそうですよ。私の場合…」というように自分が動機になって聞く姿勢です。ややもすると、そのかたの自叙伝的な話を聞かされる可能性もあります。

 同情は「かわいそうね」という上から目線の見下しの動機が入りやすいので気を付けなければなりません。共感はあくまでも、話し手が中心になるのです。

 このように、「傾聴」を通して相手を理解し、「共感」を通して相手を認めることで信頼関係が築かれます。そうすれば、自然と相手は理解しようと思うことでしょう。