https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4040

中和新聞セレクト Vol.2
真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道

 統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第2弾は「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」(ナビゲーター:稲森一郎氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』2015年10月~2017年5月に全14回で配信されたシリーズです。

第3回 気候変動と食糧危機

(中和新聞 2015年12月18日 通巻821号より)

 本シリーズでは、人類が直面している様々な地球的規模の問題にスポットを当てながら、その問題点の本質を解説するとともに、真の父母様(文鮮明先生ご夫妻)の平和思想に基づいて、確かな方向性を提示します。今回は深刻化する「気候変動と食糧危機」の問題について取り上げます。

■気候変動と食糧危機

▲干ばつで広がる食糧危機(アフリカ)

 国連世界食糧計画(WFP)によると、世界では約79500万人が飢餓に苦しんでいるといいます。世界の9人に1人が十分な食料を摂取できず、健康へのリスクを抱えているというわけです。2050年になると、増え続ける人口が90億を突破すると予測され、そうなると現在の1.7倍の食料を増産する必要があるといわれています。

 このような予測と気候変動を併せて考えると、気候変動による農作物の不作といった事態について考えざるを得ません。

 地球温暖化の影響で少なすぎる雨(干ばつ)、反対に、多すぎる雨(集中豪雨、洪水)という異常現象が世界の各地に見られるようになっています。天候の異常は、間違いなく作物の収穫量に影響を与え、温暖化の中で害虫が増殖して作物を食い荒らすなどすれば、収穫量は、ますます痛手を負います。

 気候変動がもたらす不測の事態に備え、品種改良や灌漑設備の整備などの対策が必要とされますが、残念ながら開発途上国には、そのための技術も資金も不足しています。途上国の食糧生産は、気候変動によって危機的状況に追い込まれる可能性が非常に高いのです。

 食糧増産のためには、土地や水などの確保も必要となりますが、その食糧生産のための資源である有限の土地と水を巡って、国家間で大規模な衝突を起こす恐れもあります。

食糧資源争奪戦に拍車を掛ける、もう1つの要因
 気候変動は食糧危機を起こす大きな要因となりますが、もう1つの見落とせない要因があります。農作物の不作により、国際市場で食料価格が高騰すれば、途上国の人々は低収入のため、食べ物を買って食べることができません。

 2007年から2008年にかけて世界の穀物生産量は過去最高を記録したにもかかわらず、穀物が投機の対象となったために食料価格の高騰を招き、世界各地で暴動が起きて、ハイチ、ブルキナファソ、カメルーンなどでは死傷者が出る事態まで発生しました。

 2007年から2008年にかけて、サブプライム・ローンの金融危機、いわゆるリーマンショックが表面化すると、このままでは利益を出せないと判断した投機家たちが食糧に目を付けたことにより、たちまち食料価格が高騰したのです。

 途上国の多くが、主食の穀物を海外からの輸入に頼っているため、国際市場が決定する国際価格の暴騰で、とりわけ貧しい国の人々が苦境に追いやられる結果となります。

 穀物は牛や豚などの家畜の餌となり、またバイオ燃料にも利用されるため、金儲けを考える先進国の投機筋は、飢餓に苦しむアフリカの国々から食糧生産のための土地までも買い抑えようとする動きを起こします。

■人類全体の互恵と福祉を可能にする価値基準が求められる
 気候変動の大きな原因として、現代社会における大量の化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の消費による大気中の二酸化炭素濃度の増加、あるいは森林破壊による植生変化が、水の循環や地表の日射反射量に影響を及ぼすことなどが知られています。

 その結果として発生する猛暑、極寒、干ばつ、洪水など不順な気候変動、天候の変調が、人類の生存に関わる食糧生産活動に甚大な影響を及ぼすことになるというわけです。人間と自然が共生できるエネルギー消費のあり方を、今後、人類は真剣に研究し開発しなければなりません。

 加えて、人為的な要因として、先進諸国の投機的な経済の動きが食糧価格を暴騰させ、途上国の人々を困らせることになれば、結局、人類のエネルギー消費活動や金儲けのための投機的経済活動のために、食糧問題はいつまでも解決されません。

 そればかりか、先進国と途上国の経済格差、あるいは先進国の中での貧富の格差、さらに途上国の中での貧富の格差など、人々が平和に暮らす愛と調和の「平準化社会」は永遠に訪れることがないでしょう。

■家庭倫理を基本とする人類愛で根本解決へ
 世界平和実現を実践躬行してこられた真の父母様の教示は、正しく天の声です。

 「絶対的基準の本質を考えるとすれば、それは正に家庭倫理の根幹になる『愛』です。なぜなら、家庭倫理の愛こそ、真の愛であり、隣人への愛、同胞への愛、そして人類愛の基本であると見るからです。また、その愛はアガペー的な愛であり、絶対的な愛なので、太陽が万物を一律的に照らすように、万人に真の喜びをあまねく与えることができ、古今東西を問わず不変であると見ることができるからです」(『平和経』720頁、「現代科学と人間の道徳的価値観」より)

 ここに見られる「太陽が万物を一律的に照らす」というような真の愛が、万人に真の喜びを与えるのです。

 気候変動や食糧危機の問題も、根底には、経済利益を貪欲に追い求める人間のエゴイズムが、二酸化炭素の過剰排出社会を生み出し、自然破壊、環境破壊などを何とも思わないような状況や食糧危機を招くような原因を作り出してしまったと言わざるを得ません。

 「人類は一つの家族である」と考えることができれば、そこから真の人類愛に基づいた解決の道が見えてくるはずです。

---

 次回(9月22日)は、「人口爆発、南北問題の根本的解決への道」をお届けします。

◆ ◆ ◆

※『中和新聞』のご購読は「ネットワン会員」「ファミリー会員」(光言社)にご登録いただくことで可能です。

詳細を見る