2021.09.08 17:00
中和新聞セレクト Vol.2
真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道
統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第2弾は「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」(ナビゲーター:稲森一郎氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2015年10月~2017年5月に全14回で配信されたシリーズです。
第2回 気候変動と地球温暖化問題
本シリーズでは、人類が直面している様々な地球的規模の問題にスポットを当てながら、その問題点の本質を解説するとともに、真の父母様(文鮮明先生御夫妻)の平和思想に基づいて、確かな方向性を提示します。今回は深刻化する「気候変動と地球温暖化問題」について取り上げます。
■気候変動と温暖化による海面上昇
人為的な温室効果ガスが、近年の温暖化の主要原因であると言われます。
IPCC(「国連の気候変動に関する政府間パネル」)によれば、「1750年以来、二酸化炭素濃度は31%、メタンは151%、窒素酸化物17%、対流圏のオゾンが36%増加し、人為的な二酸化炭素の多くが化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の燃焼により生産されている。メタンガスは家畜や燃料、コメの生産でも増加し、湿地などから自然要因で放出される量の66%である」と報告しています。
IPCCは、1906年から2005年までの100年間で、地球の平均気温が0.74℃上昇したと発表し、2100年には1.8~4℃の平均気温の上昇が予測されるとしています。
この温暖化に伴って起きるのが海面上昇です。特に、太平洋の島々では海面上昇が深刻な問題になっています。
2015年8月28日、第1回「鮮鶴平和賞」の受賞に輝いたキリバス共和国のアノテ・トン大統領の業績が評価されたのも、地球温暖化が早急に解決されなければならない緊急の課題となっているからです。
太平洋上に位置するキリバスの周辺の海面は、過去20年間、毎年数ミリずつ上昇し、首都タラワ周辺では2055年まで最大30センチ近く上昇すると予測され、タラワのある島の5~8割が50年までに浸水する恐れがあると、世界銀行は警告しています。
2015年2月11日、「キリバスが水没したら、フィジー共和国が全キリバス人の移住を受け入れる」と、フィジーのナイラティカウ大統領(当時)がキリバス政府に表明。キリバスは既にフィジーに広大な農地を購入し、塩害でキリバスが耕作不能になる事態に備えています。
海面上昇による国家消滅の危機という事態が心配されるのは、キリバスだけでなく、ツバルやモルディブ共和国も同じです。
■全地球的な被害の広がり
世界を驚かせた非常にショッキングな論文が、「Nature Climate Change」(2012年6月号)の掲載内容です。
「現在の温暖化ガス排出のペースが続くとすれば、2100年までに世界の海面は約1メートル上昇し、その後10年ごとに約18センチ高くなっていく」という指摘を、実際の地域に当てはめてみると、バングラデシュ人民共和国や米国のフロリダ州、ニューヨーク市マンハッタンの大半が浸水することになります。日本の場合、現在の砂浜が90%ほど失われる計算です。
世界の至る所で、浸水、水没といった由々しき事態が発生し、海岸線沿いの低地に住んでいた人々が安住の地を求めて移住し、地球規模の大移動が始まるという、まるで天変地異による人類の破局を描いた映画のような未来像が浮かびます。実際にそうなるかどうかは分かりませんが、今のまま地球温暖化を放置することはできないことだけは確実に言えます。
■「自然環境の創造」、そして「人間の創造」という創造の法則
聖書の記述にあるように、神はまず宇宙、そして自然界を創造し、創造の御業の最後の仕上げとして人間が創造されたことは明確です。
自然、そして人間という創造の順序になったのは、自然環境を人間のために準備してくださった神の計らいから、自然を先に、人間を後にしたと見ることができます。
このような自然を破壊することは、人間の生活環境として準備された「自然の創造」という神のご計画を壊すことであり、その結果、人間が生きていくことができなくなることを意味しているのです。
人類は「自然の恵みを頂いて生きる人間」という、神の愛による創造法則に逆らうことはできません。「環境破壊」ではなく、「環境創造」という神の創造原理に返らなければなりません。
天一国経典『平和経』にある「真の平和世界(1995年8月23日、世界平和会議)」の中のみ言は、ただ物質的な豊かさのみを求める人類の末路に警告を与えています。
「私たちの自然環境は、今ではもう破壊されるだけ破壊され、水と空気は汚染されており、人類を保護してくれていたオゾン層まで破損されているのですから、このままいけば人類は、自ら構築した物質文明のために自滅を免れることができない境地にまで至るでしょう」(106頁)との内容に、私たち人類は謙虚に耳を傾けなければなりません。
地球環境の破壊は、先進国家を目指す国において、どの国でも多かれ少なかれ起きたことですが、無神論や唯物論を掲げる旧ソ連、中国などの共産圏で起きた乱開発、その犠牲となった自然環境は一大悲劇と言わざるを得ません。ソ連時代に、綿花栽培に湖水を利用し、5分の1まで湖水が枯渇したアラル海は、見るも無残な姿になりました。
中国では、過伐採、過放牧、過剰耕作のために砂漠化が進み、現在、国土の18%に当たる174万平方kmが砂漠となって、黄砂の拡大と砂漠周辺地域の乾燥化が進んでいます。
神の創造を見つめる思想こそ、そのような環境破壊から環境創造へと向かう重要な鍵になると確信します。
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次回(9月15日)は、「気候変動と食糧危機」をお届けします。
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