夫婦愛を育む 168
言ってもやらない? 言ったらやらない?

ナビゲーター:橘 幸世

 わが家には「優しい小人(こびと)さん」が住んでいるようです。大鍋のふたのつまみが取れてしまったら、いつの間にか新しいつまみを付けておいてくれたり、新しい洗濯機の搬入に備えて周りの物を他の場所へ移しておいてくれたりします。

 もちろん「優しい小人さん」の正体は主人です。いつの間にかやっておいてくれたことに「お父さん、ありがとう~」と言うと、「きっと、優しい小人さんがやっておいてくれたんだよ」と返ってきます。

 こう聞くと「なんと優しい旦那さん!」と思われるかもしれませんが(基本そうですが)、常にというわけではありません。上記の2例は、私は頼まなかった事柄なのです。

 世界中の男性が妻からあれこれ言われるのを最も嫌う。口うるさい妻に対して夫の愛情が冷めてしまうことは珍しくない。たとえ正論であっても、夫は妻からだけは言われたくない。
 私が長年講座で語ってきたこの点、わが夫も例外ではありません。

 脳の違いなのでしょう、やるべき事が時系列で頭に入っているのは私の方です。
 一方、男性脳は同時に複数の事を処理するのは苦手で、目の前のことに集中するといわれるように、主人は雑事は忘れがちです。

 主人の母への伝言を頼めば、返事はするものの、その時やっていることが先なのか(言われてやるのが嫌なのか)、すぐにはしてくれないことがしばしばです。忘れられては困るのですが、催促すると不機嫌になるのでそれは控えます。

 二人に共通することで待てないときは催促せざるを得ませんが、やはり不機嫌になります。主人だけの領域に属することは私のカバー範囲外なので、気になりつつも黙ってお任せです。スマホにスケジュールを入れて確認しながら、本人のペースでこなしています。時折「しまった~」とつぶやいていますが、それもお任せ。

 心配性の私は、夫や子供の領域につい口出ししたくなりますが、極力控えるように努めてきました(たまに失敗したときは、奥の手でフォローします)。

 男性に限らず、自分で分かっていることを言われてやりたい人はいません。言われたが故に、反発してやらないこともありますね。「子供じゃないんだから」と、夫や子供に言われた覚えのある女性は珍しくないでしょう。

 言わないでおけばやるかと言えば、その保証はないのですが、それはあくまでも本人の責任分担。困ったとき、求められればサポートします。

 「優しい小人さん」が主体的に家族のためにしてくれることに感謝する。そこに焦点を当てて楽しくやっていきたいと思います。

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