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中和新聞セレクト Vol.1
真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道

 統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第1弾は「真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道」(ナビゲーター:魚谷俊輔氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』2017年5月~2019年11月に全24回で配信されたシリーズです。

10回 難民問題に焦点を当てた第2回「鮮鶴平和賞」

(中和新聞 2018年3月30日 通巻1049号より)

 2010年代に入って深刻化した地球規模の問題の1つが難民問題です。今回(第10回)は難民問題の現状を概観したうえで、この問題解決のために尽力した人物に対して、韓鶴子総裁(真のお母様)が、第2回「鮮鶴平和賞」(201723日)を授与されたことを紹介します。

2010年代に入って急増した難民
 難民はいつの時代にも存在しましたが、2010年代に入ってからの難民の急増は、近現代史で類を見ない未曾有の出来事だと言われます。

 「国連難民高等弁務官事務所」(UNHCR)の発表によると、紛争や迫害を逃れ、家を追われた人の数は2016年末時点で6560万人となり、過去最多となりました。国際法上、「難民」は国外に逃れた人を指し、自国内で避難生活を余儀なくされている人は「国内避難民」と呼ばれます。上記の数字はこれらを合計した数です。

 UNHCRによると、難民の数は1990年代から2000年代前半にかけて減少したものの、2010年代に著しく増加。2011年初頭から本格化した民主化運動「アラブの春」、2011年に始まった「シリア内戦」、2014年に〝建国宣言〟をした「IS(イスラム国)」など、イスラーム圏の混乱と深い関わりがあります。

 シリアは凄まじい内戦により、国家が既に崩壊状態にあり、こうした「破綻国家」から人々が安全を求めて流出することで、大量の難民が発生しているのです。

■押し寄せた難民がEUに危機をもたらす
 イスラーム諸国から押し出された人々が、最終的に引き寄せられたのが欧州でした。特に2015年、EUはかつてない人の大移動に遭遇。移住問題の専門機関「国際移住機関」(IOM)によると、EUに流入した非正規移動者数は100万人を超え、難民申請者数も前年の約56万件から約126万件へと大幅に増加しました。

 異なる宗教や民族を背景とした大勢の人々が一気に押し寄せたため、EU諸国にとって深刻な問題となりました。

 人道主義の立場に立てば、難民を保護しなければなりません。しかし、難民に混じって経済的理由による「移民」も押し寄せてくるのが現実です。また、「難民」と名乗る人々が本当に難民性を有しているのか、テロリストや武装組織とは無関係なのかを確認し、選別するのは極めて困難です。

 テロリストや戦争犯罪人が非正規移動者の流れに紛れ込むことが、「国家安全保障」の問題であると盛んに取り上げられ、移民排斥を訴える民族主義政党や「極右」政党が、EU諸国の選挙で躍進しました。

 これまで難民問題は、「国家が難民を守る」との観点を中心に論じられてきました。しかし、その数が膨大になり、国家に対する脅威や負担として認識されるようになると、「難民から国家を守る」という発想が現れたのです。

 2016年、イギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が行われ、「離脱」が決定したときの争点にも、このような問題が含まれていました。

■難民発生国としてのシリアとアフガニスタン
 現在、難民発生国で群を抜いているのがシリアです。UNHCRによると、2016年末時点のシリア人難民の数は約550万人で、全難民の32%を占めています。これに国内避難民の数を加えると1000万人を超えると言われ、実に人口の半数以上が避難民になっているという状況です。国籍別のEUへの不法入域も、シリア人による事例が圧倒的に多くなっています。

 2位はアフガニスタンで、難民の数は250万人です。しかし、2014年にシリアに抜かれるまでは、32年連続で首位の座を占めていました。

 この国の混乱は冷戦時代にまでさかのぼります。1988年、旧ソ連のアフガニスタンからの撤退開始以降も、内戦と政情不安は続き、1990年代のピーク時には、難民が630万人を数えました。現在250万人の難民に加えて、100万人以上の国内避難民がいると報告されています。

 カダフィ大佐による独裁政権で長らく安定していたリビアも、アラブの春を経て混乱に陥りました。地中海を挟んでイタリアとギリシャの対岸にあるリビアは、欧州への出航地として機能するようになり、「中央地中海ルート」と呼ばれるリビア・ルートを経て、大量のアフリカ系難民がイタリアに流入するようになったのです。

▲韓鶴子総裁から第2回「鮮鶴平和賞」を授与されたジーノ・ストラーダ博士(右から2人目)とサキナ・ヤクービ博士

ストラーダ博士とヤクービ博士に「鮮鶴平和賞」
 201723日、世界平和に貢献した個人や団体を表彰する、第2回「鮮鶴平和賞」の授賞式が韓国・ソウル市内のホテルで行われ、難民問題の解決に大きく貢献したイタリア人医師のジーノ・ストラーダ博士と、アフガニスタンの教育者サキナ・ヤクービ博士が受賞しました。

 ストラーダ博士は「『医療を受ける権利』は基本的、かつ譲ることのできない人類普遍の人権である」という信念のもと、緊急医療団体「エマージェンシー」を創設。25年間にわたって紛争の最前線である中東およびアフリカ地域で緊急医療救護活動を展開し、700万人の生命を救った功績が高く評価されました。

 「アフガン教育の母」と呼ばれるヤクービ博士は、「戦争と占領という最悪の条件下にあっても、社会再建の核心は『教育』である」との信念に基づき、過去21年間にわたって献身的な難民教育を実施しました。

 戦争で教育や保険システムが完全に崩壊したアフガン難民キャンプで教師を養成。1995年に「アフガン学習研究所」を設立し、女性と子供1300万人に教育と職業訓練を提供しました。タリバン政権の女性教育禁止政策にもかかわらず、命懸けで80余りの学校を秘密裏に運営し、3000人の少女たちを教育したのです。

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 次回(5月26日)は、「アフリカの未来を開く統一運動」をお届けします。

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