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中和新聞セレクト Vol.1
真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道

 統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第1弾は「真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道」(ナビゲーター:魚谷俊輔氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』2017年5月~2019年11月に全24回で配信されたシリーズです。

第9回 日本の発展とアジアの平和のための「日韓トンネル」

(中和新聞 2018年2月9日 通巻1035号より)

 少子化による人口減少の問題を抱えた日本が、今後も持続的な経済発展をするためには、アジア諸国との連携が不可欠です。今回(第9回)は、そのための画期的なプロジェクトである「日韓トンネル」の意義について紹介します。

■人口減少とアジア外交に課題を抱える日本
 日本の人口について長いスパンで見ると、江戸時代に約3000万人で一定していた人口は、明治期から一挙に生産性が高まって急増。2010年の約12800万人をピークに減少に転じ、2053年には1億人を切ると言われています。

 また、現在世界第3位の日本のGDP(国内総生産)は、2050年には第8位まで下がると予想されており、これからの日本は、一国だけの努力では衰退するしかない状況です。

 一方、アジアは今後、世界経済の中心になると言われ、日本の経済発展のためにはアジア諸国から対日投資を呼び込むことが不可欠です。

 北東アジアの主要な構成国である日本、韓国、中国の3か国は、人口総計が約153000万人(世界人口の20%強)であり、GDP総計は世界全体の22%、貿易額は世界の20%を占め、世界の成長センターであるアジアの中でも中核となる国々です。

 しかしこの3か国に北朝鮮を加えた北東アジア地域は、冷戦終焉後もイデオロギー的対立に加えて複雑な「歴史問題」を抱え、地域協力や共同体形成が最も遅れた地域となっています。

 イギリスとヨーロッパが「ユーロトンネル」(英仏海峡トンネル)で結ばれ、EUが統一経済圏を形成している状況に比べれば、玄界灘と38度線で分断された北東アジアは、信頼性の高い効率的な域内輸送システムを欠いており、それが交易拡大の大きな制約となっています。

■北東アジア経済圏形成のための動脈に
 こうした問題を一気に解決する画期的なプロジェクトが、「日韓(海底)トンネル」の建設です。

▲「日韓トンネル」のルート案
唐津(佐賀県)から壱岐(長崎県)、対馬(同)、韓国の巨済島を経て釜山に至る

 日本がアジアの成長のダイナミズムを取り込んでいくには、北東アジアの国々との円滑な関係が欠かせません。現在、日本と韓国は経済的な相互補完関係が強まりつつありますが、物流は海運と航空輸送に頼らざるを得ない状況です。そこにトンネルによる陸運が加われば、日韓の経済交流は加速し、九州北部と韓国南部は一つの経済圏に発展していきます。

 さらに将来、中国の民主化が進み、日韓中の経済交流が拡大する時代を迎えれば、日韓トンネルは、より大きな北東アジア経済圏を形成するための動脈となるでしょう。

 20111月、韓国交通研究院は「日韓トンネルの建設は経済性に乏しい」という試算結果を発表しましたが、これは南北分断という韓半島の現状を固定的に捉えて分析した結果にすぎません。将来、韓半島の平和的統一が実現すれば、半島北部の社会資本整備事業や鉱物資源・観光資源の開発は活性化し、「ヒト、モノ、カネ」の流れが加速すると予想されます。

 さらにその流れが中国やロシアまで連結されるとき、日韓トンネル建設事業は十分に採算の取れるものになると考えられます。

32か国が参加する「アジア・ハイウェイ」計画
 「パンアメリカン・ハイウェイ」や「ヨーロッパ・ハイウェイ」のような国際道路網をアジアにも構築するアイデアは、1950年代半ば頃から国連を中心に検討され、1959年、「国連アジア極東経済委員会(ECAFE)」の総会で「アジア・ハイウェイ」計画が採択されました。

 その後、同計画は「国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)」の管轄となり、現在、日本を含むアジア32か国がプロジェクトに参加。総延長約142000キロメートルの国際道路網が形成されています。

 しかし、日本と韓国をつなぐルートは、釜山と九州北部をフェリーで結ぶ形で設定されており、この部分をトンネルに変えることが、日韓トンネルの国際的な環境造成の第一歩となるのです。

 日韓トンネルは、日韓両国の政府と国民が一致協力して取り組まなければ実現困難なプロジェクトです。実現のためには、両国民の間に横たわる相互不信と敵対感情を克服しなければなりません。それは、「近くて遠い国」と言われる両国の関係を「近くて近い国」に変えるための未来志向の取り組みなのです。

 また長期的な視点に立てば、単に日韓の経済交流を拡大させるだけではなく、北東アジアに広域経済圏を構築し、同地域に平和と安定をもたらす「平和のトンネル」となるでしょう。

■日韓トンネル建設を提唱された文鮮明総裁
 198111月、韓国・ソウルで開かれた第10回「科学の統一に関する国際会議」(ICUS)において、(故)文鮮明総裁は日本と韓国を結ぶ海底トンネルの建設を提唱されました。

 それを機に日本で日韓トンネル建設に向けた調査活動が始まり、1982年には「国際ハイウェイ建設事業団」(2009年、一般財団法人国際ハイウェイ財団に改組)が設立され、各候補地域のボーリング調査に着手。19835月には「日韓トンネル研究会」が発足し、トンネルや土木の専門家が行う地形や地質等の調査・研究を積極的にサポートしてきました。

 日本の平和大使運動は、2010年から日韓トンネル推進運動を積極的に支援。全国各地の平和大使たちは、「日韓トンネル推進都道府県民会議」の結成に貢献してきました。

 そうした土台の上に、20171128日、「日韓トンネル推進全国会議」が結成され、同プロジェクトを日本の政策として、また日韓の国際プロジェクトとして押し上げていくための活動が本格的に始動しました。

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 次回(5月19日)は、「難民問題に焦点を当てた第2回『鮮鶴平和賞』」をお届けします。

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