2021.04.09 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第35回 相手が主人意識を持てるようになるアドバイスの仕方は?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回の質問は、「相手が主人意識を持てるようになるアドバイスの仕方があれば教えてください」という質問です。
家庭や企業、学校などにおいて人を教育する場合に、「どのように教えるか」「何を教えるか」ということが中心テーマとなり、教えるスキルアップに力を入れてきました。
しかし今の時代は、人に教えること以上に、その人の可能性を引き出すことがより重要になってきているように思います。
例えば、コミュニケーションの大切なキーワードが「ティーチング」から「コーチング」に移りつつあるのです。
ティーチングの主役は教える側ですが、コーチングの主役はコーチされる側です。
主人意識を高め、自発的に意欲を高めるためにはコーチングがとても有効です。
教えることに主軸を置いていた時代は、相手に対して「知らないから教えてあげる」「やらないからやらせる」「できないからできるようにさせる」という否定的な人間観がその根底にありました。
しかし、引き出すことに主軸を置くべき今の時代は、「できる人・やれる人・可能性がある人」という、相手に対する肯定的な人間観を持って、相手の可能性を信じてサポートすることが必要です。
そのために指導者は、ヘルプ型の指導者ではなくサポート型の指導者になることです。
誰かが何かに困っていたり、迷っていたりすることに対して助ける場合、二通りの助け方があります。
一つは、最善の道を教えたり、できないことを代わりにやってあげたりするなどの「ヘルプ」です。
もう一つは、最善の道を一緒に考えたり、本人が自分の力で解決できるように助けたりする「サポート」です。
幼い子供に対しては、親が食べさせたり、言葉を教えたり、必要なことを教えるなど、「ヘルプ型の愛」を投入します。
しかし、子供が成長していくとともに、何をしたいのかを聞いてあげたり、信じて見守ってあげたりしながら必要な時にだけ助けてあげるというような「サポート型の愛」が必要になっていきます。
職場の部下に対する接し方も同じことです。
それでは、コーチングのためにはどのようなコミュニケーションが必要でしょうか。
それは、教えようするよりも「聞くこと」「質問すること」です。
聞いてあげることを通じて、相手は考え方が整理されたり、知恵が湧いてきたり、心がすっきりとして意欲的になったりします。
また、質問をしてあげることで相手は深く考えるきっかけになったり、新たなことに気付いたりします。
さらに、質問に対する答えを自ら見いだすことによって自分自身が行動を選択するので、当事者意識が高くなり、責任感を持って取り組もうとしていきます。
そうなると、その人は「やらされる」というよりも、「自らやろう」とする主体的な動機がより強くなります。
もし、指導者がアドバイスをする場合は命令や指示などではなく、提案型でアドバイスをすればよいでしょう。選択肢を増やすなど、相手にヒントを与えることは有効ですが、あくまでも本人が責任を持って取り組むことができるようにすることが大切です。
また、質問は相手にするだけでなく自分に対しても効果があります。
自問自答する「自己コーチング」を繰り返すことを通して、新鮮なアイデアを見いだしたり、無限の可能性を引き出したりできます。
皆さんからの質問をお待ちしています。
「人生相談Q&A」で、ほぼ5分でお答えいたします。また、お会いしましょう!