夫婦愛を育む 155
再び、プラスアルファ

ナビゲーター:橘 幸世

 時々通る道には片側にスーパー、向かい側にその駐車場があります。当然両者をつなぐ横断歩道は頻繁に買い物客が使用します。おまけに高齢の利用者が多いスーパーとあって、歩道の前で車を停めることはしばしば。先日も男性が一人立っていたので、停車しました。

 すると比較的若そうなその人は渡る時、帽子を取ってこちらを向いて会釈したのです。ビックリしました。そして感動しました。ちょっとした仕草ではありますが、義務でしたことに真心が返ってきた感じです。

 片手を挙げるか軽く会釈するくらいが一般的ですし、何もせず渡る人も珍しくありません。以前のコラムでも取り上げ、講座でもお話ししてきましたが、改めて“プラスアルファ”の威力を感じました。

 世間一般や日常生活の“普通”にプラスアルファ、すなわちひと手間加えてちょっぴりグレードアップしたものを相手に渡すと、惰性や義務でやっているのではないと伝わり、受け取った側は愛情や真心を感じてうれしいものです。

 私の講座は婦人向けですので、当然話は夫に対してのプラスアルファに焦点が当てられます。
 でも、横断歩道での数秒の出会いでも人を気持ちよくさせてくれるのですから、配偶者に限らず、出会う人たちにプラスアルファの心遣いができたら、小さな幸せが日常の空気に満ちていくのではないでしょうか。

 そんな時訓読で出合ったみ言が、天の父母様を中心とした兄弟姉妹との関係についてのものでした。

 「…ここ(教会)は、互いに愛し合うために集まったのです。…では愛する方法はどこから習うのでしょうか? 先生(文鮮明先生)から習うのです。先生に会って、先生を愛したいという思いが生じなければなりません。ただお互いに会いたくて、与えたい愛を、兄弟たちにあげるべきです。そうすれば神様は、その何倍にもして返してくれようとなさるでしょう。父母は、兄弟が互いに愛し合うのが好きだからです」(成和出版社『文鮮明先生のみ言主題別精選 人の生涯』234ページ)

 ある婦人は、教会で会っても彼女の家で会っても、お昼前ならば誰に対しても「食べていってください」と言います。こちらが遠慮しても「ぜひぜひ」と勧め、何もなければ「すぐできますから」と手間を惜しまず作り始めます。
 そんな行動で愛を示してくれる彼女には、頭が下がります。

 長く信仰を持った者同士の場合、ややもすれば安心して気を抜いて、相手にぞんざいに接してしまうことがあるかもしれません。それが常態化してしまえば、居心地の良い空気は生まれづらいでしょう。

 改めて原点に返って、兄弟姉妹と関わる際、彼女のような、帽子を取って歩道を渡った男性のような姿勢を心掛けたいと思いました。


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