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中和新聞セレクト Vol.1
真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道

 統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第1弾は「真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道」(ナビゲーター:魚谷俊輔氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』2017年5月~2019年11月に全24回で配信されたシリーズです。

2回 国連の課題と超宗教議会設立の提案

(中和新聞 2017年6月20日 通巻970号より)

 天宙平和連合(UPF)は、現在の世界が直面している問題の1つとして、宗教・民族対立の激化を挙げ、その具体的な解決策として、「平和国連」のモデルを形成するというゴールを掲げています。今回(第2回)は、現在の国連システムが抱えている課題を分析し、その解決策として文鮮明師が提唱した「国連超宗教議会」の設立について解説します。

■国連の限界は安保理常任理事国の国益至上主義
 国連の第1の目的は、「国際の平和及び安全を維持すること」(国連憲章第1条)にありますが、現在の国連は、必ずしもこの目的を果たせていません。国連の最大の課題の1つが、安保理常任理事国の国益至上主義です。

 安保理の勧告には強制力があり、無視すれば非軍事的制裁のあとに、軍事行動が発動され得る強力なものになっています。安保理は事実上、米英仏露中の常任理事国5か国が牛耳っており、非民主的な構成であるにもかかわらず、その決定は非常に重要なものになっているのです。

 常任理事国の国益至上主義を最も端的に表しているのが「拒否権」です。国連創設以来、最も多くの拒否権を発動してきたのは、旧ソ連とその後継者であるロシアで、その大半は1966年以前の冷戦時代初期に発動されています。

 冷戦期には、米国とソ連がたびたび拒否権を行使し、国際政治の停滞と冷戦長期化の一因となったとの批判も根強くあります。冷戦終結後は、米国によるパレスチナ問題関連決議でのイスラエル擁護のための行使が目立ちました。

 これゆえ、大国の利己主義を通すためだけの規定が拒否権であるとの批判もあるくらいです。

■国連の課題は宗教的価値観の軽視
 国連のもう1つの課題は、宗教的価値観の軽視にあります。世界の諸宗教の信者数を全て合わせると、実に地球上の人口の約85%の人々が、何らかの宗教を信じていることになります。

 宗教の影響力は非常に大きいものがあり、人々の宗教的忠誠心は、時として国家に対する忠誠心を上回ることもあります。基本的に宗教は平和を志向するものですが、その影響力は負の力として作用することもあり、宗教が紛争の原因となることもあります。

 冷戦時代には、世界平和の問題と言えばイデオロギーの問題であり、東西の対立、米ソの対立が中心的なテーマでしたが、冷戦後の世界において世界の平和を脅かしているのは、むしろ宗教・民族間の争いです。

 「9.11同時多発テロ」や最近の「イスラム国」の出現により、宗教的対立を動機としたテロの問題は、平和を脅かす深刻な問題として認識されるようになりました。

 こうした事態に、既存の国連システムがうまく対応できているかと言えば、できていません。それは宗教的価値観を反映する機能の欠如という、国連のもつ構造的な課題に起因しています。

■宗教的価値観が代弁されない既存の国連システム
 人間は、心と体という内外の両面性をもっています。この人間が集まってつくるのが国家ですが、人間の共同生活において心に該当するのが宗教であり、体に該当するのが政治です。

 1人の人間において心と体がバラバラに存在するのではなく、相互補完的な関係にあるのと同じように、本来は1つの国家において、宗教と政治は相互補完的な共存関係にあるべきです。ですから歴史的に見て伝統的な社会においては、宗教と政治は、ちょうど心と体のような共存関係にありました。

 しかし、近代国家においては、「政教分離」の原則のもとに、宗教と政治はできるだけ関わらないほうが良いということになり、宗教は公的領域における影響力を失い、「私事」の領域に閉じ込められるようになりました。一方、政治は宗教的価値観を失って世俗化し、物質的・経済的利益を追求する傾向が強くなりました。

 このような近代国家が集まってつくられたのが国連であるため、現在の国連は基本的に政治家と外交官によって構成されており、宗教的価値観が代弁されるシステムは存在しません。

 地球上の人口の約85%の人々が、何らかの宗教を信じており、その影響力が大きいにもかかわらず、宗教的な知恵や視点が国連の議論に反映される場がないのです。

 さらに、現在の世界の紛争は宗教的対立に起因するものが多いにもかかわらず、宗教的な視点から和解を促進するシステムも存在しなければ、専門家もいないのです。


▲2000年8月18日、米国・ニューヨークの国連本部で開催された国際会議「アセンブリ2000」

■文鮮明師による「国連超宗教議会」設立の提案
 UPFの創設者である文鮮明師は、こうした国連の課題を解決するため、20008月にUPFの前身であるIIFWP(世界平和超宗教超国家連合)の主催で、ニューヨークの国連本部で開催された国際会議「アセンブリ2000」において、「国連超宗教議会」の創設を提唱しました。

 国家を代表する政治家や外交官によって構成される従来の国連を下院とすれば、一国の利害を超えた地球規模の視点から発想することのできる、宗教家や精神世界の指導者たちによって構成される超宗教議会は、国連の上院に当たります。これにより、国連は人間の心と体、宗教と政治の両方が代表され、相互補完的な役割を果たすことのできる統合された機構となります。

 そのとき国連は、その創設の理想を体現した、国益を超えて世界平和を目指す新しいグローバル・ガバナンスの組織に生まれ変わることができるのです。これが文鮮明師の提唱する国連改革の概要です。

 UPFの国連改革運動の成果の1つとして、国連「世界諸宗教調和週間」(World Interfaith Harmony Week)制定の決議案が、2010年の第65回国連総会で採択されたことが挙げられます。

 この決議では、毎年2月の第1週が、世界の諸宗教を調和させるための1週間として定められました。

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 次回(3月31日)は、「日韓米を基軸とするアジア太平洋地域の平和構築」をお届けします。

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