2021.03.31 17:00
中和新聞セレクト Vol.1
真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道
統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第1弾は「真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道」(ナビゲーター:魚谷俊輔氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2017年5月~2019年11月に全24回で配信されたシリーズです。
第3回 日韓米を基軸とするアジア太平洋地域の平和構築
天宙平和連合(UPF)は、現在我々が直面している問題の一つとして、アジアと日本の「安全保障の危機」を挙げ、その具体的な解決策として、「日韓米を基軸として、アジア太平洋地域の平和と繁栄に貢献する」というゴールを掲げています。今回(第3回)は、同地域の抱える安全保障上の課題を明らかにし、それを克服するための運動の方向性と、その成果について解説します。
■米国の衰退と中国の台頭がもたらす内外の危機
現在、東アジア地域に大きな「パワー・シフト」が起ころうとしています。その主要な原因は、米国の衰退と中国の台頭です。
戦後、日本の安全保障は「日米安全保障条約」に基づき、米国の圧倒的な軍事力による防衛という大前提のもとで成り立ってきました。しかし、2008年に起きた「リーマン・ショック」以後、米国は深刻な財政赤字を抱え、国防費を大幅に削減するようになります。またアフガン戦争やイラク戦争の影響で米国民の間に厭戦気分が広がり、国民世論が内向きになっているのです。
こうした状況下で、多くの米国人が、「遠く離れた極東の島国(日本)を守るために、どうして我々の税金が使われなければならないのか?」と考えたとしても不思議ではありません。
「米国はもはや世界の警察官ではない」と最初に発言したのはオバマ前大統領ですが、トランプ大統領も、選挙キャンペーン中に同様の発言をし、「私たちの計画は米国第一。グローバリズムではなく、アメリカニズムを信条とする」と宣言しました。米国がこのような孤立主義の道を行く場合、「いざというとき、本当に日本を守ってくれるのか」という疑念が生じます。
一方、中国は毎年二桁という飛躍的な伸び率で国防費を増大させ、対外膨張政策が顕在しています。日本では、中国が東シナ海の尖閣諸島を虎視眈々と狙っていることが、国民の注目を集めていますが、現在、中国が最も力を入れて軍事的影響力を拡大しているのが、南シナ海です。
2015年以来、中国海軍は南シナ海の岩礁を埋め立てて人工島を造成し、3000メートル級の滑走路を備えた軍事的施設を建造。世界の注目を集めることとなりました。
中国が南シナ海の制海権を完全に掌握するようになれば、そこから潜水艦によって米国本土を攻撃することが可能です。それは米国の安全保障にとって極めて重大な脅威となります。
■中国の国家戦略「100年マラソン」の衝撃
2015年2月、米国の代表的な親中派として知られていたマイケル・ピルズベリー氏(ハドソン研究所・中国戦略センター所長、国防総省顧問)が、『The Hundred-Year Marathon(100年マラソン)』という本を出版しました。ピルズベリー氏は、ニクソン政権からオバマ政権に至るまで中国の軍事動向の分析に携わってきた権威です。
彼によると、米国は1960年代後半頃から、「中国は、世界の覇権を握ることを望んでおらず、やがては民主主義の静かな大国になる」と考え、中国を支援してきたといいます。彼自身も、米国が中国と関わり続ければ、「中国は欧米型の国になるだろう」と信じていたのです。
そんな彼が、先の著書では認識を一変させ、「米国は中国に騙されていた」と述べ、「中国が、建国100年の2049年までに、米国に取って代わる世界覇権国家を目指していることがようやく分かった」と警告しているのです。中国の国家戦略は、著書のタイトルにもあるように「100年マラソン」と呼ばれ、その衝撃は全米に静かに広がりました。トランプ政権の中国観も、基本的にはこの路線に立っています。
■日韓米の連携による平和構築
アジア太平洋地域に平和を構築するうえで最大の障害は、共産主義を信奉する中国の世界制覇戦略です。また、北朝鮮による核兵器とミサイルの開発、および金正恩政権による執拗な挑発行為も、同地域の緊張を高めています。
こうした脅威から同地域を守るには、新たな安全保障体制の整備が不可欠です。それは、〝戦争をする〟ためではなく、〝戦争を抑止する〟ための整備であり、日本と韓国、米国が結束することが必須要件です。日韓米が結束していれば、中国や北朝鮮につけ入る隙を与えません。
しかし、結束が乱れた場合、中朝は「チャンスあり」と判断し、軍事的冒険主義に走る危険が生じます。したがって、日韓米はガッチリとスクラムを組み、アジア太平洋地域の安全を守るという強い姿勢を見せなければならないのです。
■安保問題に取り組み続けた平和大使運動
日本の平和大使運動は、2010年から本格的に安全保障問題に関わるようになり、5つのスローガン(①緊急事態基本法を制定しよう、②我が国の防衛力を増強しよう、③集団的自衛権に正面から取り組もう、④日米安保体制強化・日韓防衛協力を推進しよう、⑤スパイ防止法を制定しよう)を掲げて運動を展開してきました。
当初は民主党政権の時代であり、これらスローガンの実現は極めて困難に感じられましたが、第2次安倍政権の誕生以降、その一つ一つが次々と実現の方向に動き出しました。
2015年9月、安倍政権は集団的自衛権の限定行使容認を含む「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」を成立しました。この法案の審議は国論を二分し、マスコミの偏向報道によって激しく攻撃されましたが、平和大使運動は一切ぶれることなく法案に賛成し続け、その意義を訴える大会やセミナーを開催し、支援してきました。
また2013年に「特定秘密保護法」が成立し、2016年には日本と韓国の間に「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」が締結されるなど、目に見える成果が次々と現れてきています。
このように安保運動を継続していくことは、日本の国益と東アジアの平和と安定に資することになるのです。
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次回(4月7日)は、「急激に進む少子高齢化と家庭崩壊の危機に対処」をお届けします。
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