家族の絆づくり 157
会話の「具体化」と「抽象化」の意味

ナビゲーター:阿部 美樹

「具体的」に理解し合う
 「もっと具体的に説明してください」「具体的な事例はありますか」など、日常的に「具体的に」という要求は頻繁にあります。
 物事が持つ一つの要素を詳しく表現することを通じて理解が深まるからです。

 夫婦関係、親子関係、家族関係を深めるためには、「具体的な表現」が必要です。
 それは、「自分が考えていることを言葉で表現すること」であり、「相手の考えていることを言葉で表現してもらうこと」です。

 まさに、「会話を通した具体化」です。
 関係が希薄だったり、険悪だったりする家族は、互いのことを「具体的に知らない」し、「誤解している」場合がほとんどです。
 互いに具体的に語る人、具体的に聞く人になりましょう。

「抽象的」に本質を見極める
 一方、「もっと抽象的に説明してください」「抽象的な事例はありますか」という表現は聞くことはないでしょう。

 「抽象的に」とは、さらに「曖昧に」することです。
 「曖昧」というのは、漠然としている、理解しにくい、不明確というイメージです。

 それでは、「抽象化」することは、全く無意味なことなのでしょうか。

 実は、抽象化にも大切な意味があります。
 物事を抽象化するというのは、個別的・具体的な事柄の「共通点」を見いだしたり、「本質的な要点」を抜き出したり、一言で表現できる「タイトル」にしたりすることです。

 例えば、「雪の多い県はどこ?」という質問に対しては、具体化して「北海道、山形県、新潟県」などの答えが簡単に出てきます。
 一方、「北海道、東京都、京都府の共通点は何か?」という質問に対しては、共通点を見出す抽象化をして「県ではない」と答えることができます。

 「わが家で大切にしているのは〇〇」など、家庭が一つになるためには、共通の目的や本質的な要点を見いだすことは大切なことです。