家族の絆づくり 156
「迷うこと」は良いこと? 悪いこと?

ナビゲーター:阿部 美樹

迷うことのおかげで…
 「迷いやすい性格です」「何事も迷うことが多いです」という声を聞くことがあります。

 これは、迷うことが自分の欠点であり、迷うことを無くさなければならないと葛藤している状況と言えます。

 しかし、迷うことを私たちの心から無くすべきなのでしょうか。

 さまざまな考えを思い巡らすことが迷うことです。
 心に迷いがあるからこそ、考えが深まり、いろんな選択肢を熟考することができます。

 迷うことは決して悪いことではありません。迷いと決断の連続で人生が成り立っています。
 迷う時間が長い人もいるし、短い人もいるだけです。
 迷う時間が長くても焦る必要はありません。すぐに結論を出さない方が良い場合もあります。
 迷った状態で一晩そのままにして、1日~2日後に改めて考えると、すぐに結論を出せたり、新鮮な知恵が湧いてきたりすることもあります。

 迷う時間が長くても、決断して結論を出せば良いのです。ですから、迷うことで焦る必要はありません。
 迷うことにも意味があり、価値があるので受け入れることが必要です。

迷う人は悟る人
 なぜ、迷うのかというと、「分からない」からです。

 例えば、「どうしたらよいと思いますか?」と尋ねられた場合、「そうだね…」と言いながら頭が空白状態になります。

 この空白状態こそ発想の転換のチャンスであり、潜在意識を引き出す大切な時間です。

 理解や納得に至るためには迷いという過程を経ることが必要です。
 分からず考えている過程は「迷いの連続」です。自分にふさわしい道を選択するまでは迷いの渦中にあるのです。

 たくさん迷う人こそ、悟りを得る人かもしれません。左右均等に振れる振り子のように、多く迷った分だけ、腑に落ちる悟りを得るからです。