青少年事情と教育を考える 147
コロナ禍で深刻な子供の自殺、うつ

ナビゲーター:中田 孝誠

 コロナ禍の影響が続く中、青少年に関わる心配なデータがいくつか公表されています。

 一つは、文部科学省が公表した自殺者数です。
 昨年1年間の小中高生の自殺者数は479人で過去最多となりました。前年の339人から140人も増えています。特に8月は64人で、前年同月の約2倍になっています(文部科学省「コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状について」)。

 自殺の原因・動機は「進路に関する悩み」「学業不振」が最も多いのですが、今回は前年に比べて「病気の悩み・影響」(うつ病など精神疾患)が増えているのが目立ちます。

 こうした子供たちの自殺への対策として、文科省から各教育委員会に「SOSの出し方に関する教育」を実施すること、SNSなどを活用した相談窓口の周知、家庭での見守りを促す、などが通知されています。

 また、国立成育医療研究センターが昨年11月〜12月に実施し、今年2月に結果を公表したアンケート調査によると、小学4〜6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状が見られました(過去7日間に「気分が落ち込む」などにどのくらい悩まされたかを質問し、点数化しています)。

 例えば、「気分が落ち込む、ゆううつになる、いらいらする、または絶望的な気持ちになる」ことが過去7日間のうち「半分以上」「ほとんど毎日」だという回答は、小学4〜6年生が21%、中学生23%、高校生25%でした。

 「物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない」は、おのおの7%、12%、17%です。「疲れた感じがする、または気力がない」は20%、37%、33%でした。

 しかもこの調査では、保護者の3割に中等度以上のうつ症状があるという結果が出ています。

 この状況にどう対応するか。上記の調査は対策までは明示していません。相談できる体制を強化するとしても、それを受ける専門家の人材、例えばスクールソーシャルワーカーやカウンセラーをどこまで配置できるかといった課題もあります。

 家族が喜んで過ごせる家庭、子供が安心できる家庭を築くこと、そしてそのような地域社会を形成すること。当たり前かもしれませんが、そのことを第一に考える必要があるのではないかと思います。