青少年事情と教育を考える 146
デジタル化推進と視力の低下

ナビゲーター:中田 孝誠

 これまで何度か取り上げていますが、学校現場ではGIGAスクールと呼ばれるデジタル環境の整備を急いでいます。1人1台の端末配布など当初の予定を前倒しで進めています。

 一方で、デジタル端末の使用が増えることによる子供の視力低下が危惧されています。菅首相は1月の国会質疑で、子供たちの視力と日常生活の関連を文部科学省で調査研究し、ICT(情報通信技術)活用のガイドブックに反映させると答弁しました。

 近年のスマートフォンの急速な浸透とともに、子供たちの視力低下は深刻な問題になっています。

 文科省が実施している調査によると、裸眼視力1.0未満の児童生徒の割合を見ると、2019年度は小学生34.57%、中学生57.47%、高校生67.64%でした。いずれも40年前の1979年(小学生17.91%、中学生35.19%、高校生53.02%)から大幅に上昇しています。

 また、NHKなどが調査したところ、通常の視力検査では分からない「近視」の児童が、実際に視力低下した児童の2倍以上いたことが分かりました。
 通常の視力検査で眼科を受診する必要があるとされる0.7未満の児童が23.4%だったのに対して、特殊な装置で測定して近視と判定された児童は54.5%に上っています(NHKホームページより)。

 スマホやゲームの長時間の使用で近いところを見続けることが近視の原因とされています。しかも、子供の近視は進行が早いと専門家も指摘しています。

 学校でデジタル端末を使うことがどの程度視力に影響するかは今後の研究を待つ必要がありますが、今の段階でも生活習慣の改善など家庭での対応が重要になっているわけです。