み言:モーセは、豪華絢爛なパロ宮中にとどまっている間、華やかに着飾り、食べ、歓喜にあふれる生活をしていたのではありません。彼が宮中にとどまっているとき、始終一貫、食べて、着て、寝る、その生活のどの一瞬においてもイスラエル民族を心配していないときがありませんでした。エジプトにいるイスラエル民族の中でモーセだけが、その民族が知ろうと知るまいと、天に対する忠誠心が変わらなかったのです。(『世界経典Ⅱ』より)
アブラハムがハトを裂かなかった時に神様が言われたとおり、イスラエル民族はエジプトで奴隷となり400年間苦労しました。
しかし、神様は、イスラエルを見捨てたのではなく、彼らが心から神様を呼び求める時を待っていました。どんな困難な時でも、彼らが神様を忘れなければ、神様は救いの手を差し伸べることができるのです。
エジプトの王様は、増え続けるイスラエル民族を恐れて、生まれてくる男の子を殺すよう命じました。そんな時代に、神様はひとりの男の子を送ってくださいました。それがモーセです。
もし、男の子が無事に生まれたとしても、彼がイスラエルの指導者になるまでには何年もかかります。その間、殺されずに無事に成長するためには、イスラエル民族は、命がけでこの子を守らなければなりません。
その点、モーセのお母さんは勇敢でした。生まれて三か月間隠し通しました。その後、彼が安全に育てられる道を探し、子供のいなかったエジプトの王女が見つけてくれるように籠をそっと川に浮かべました。
モーセのお姉さんも母親に似て立派でした。彼女は機転を利かせて、「この子の乳母を見つけてきましょう」と言って、王女の所に実の母親を連れて来たのです。王女はそれを認めたので、モーセは実のお母さんに抱かれてお乳を飲むことができました。お母さんは、彼を自分の子供である前に、神様から預かった尊い王子として育てることになりました。
モーセは、お母さんからたくさんのお話を聞かせてもらいました。神様から呼ばれたアブラハム、供え物になったイサク、ハランで苦労したヤコブ、兄弟たちと和解したヨセフ。イスラエル民族の父祖たちの物語を繰り返し聞きました。だからモーセは幼い時から選民の一人であることをはっきりと自覚していたはずです。
それゆえ、パロ宮中で何不自由のない生活をしたとしても、それに溺れることなく、天に対する忠誠心を失いませんでした。いつもイスラエル民族のことを心配し、彼らを救いたいという思いでいっぱいでした。だから、蔑まれ、打ちたたかれるイスラエルの民を見た時に、彼は燃え上がる心を抑えることができず、彼らの中に飛び込んでいったのです。
モーセの、神様を愛し、民を思う心は、お母さんの愛にあふれた言葉によってつくられたに違いありません。
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