スマホで立ち読み Vol.36
『こども礼拝』8

林三男・著

(光言社・刊『こども礼拝 親と子のための説教集』〈200549日初版発行より)

 スマホで立ち読み第36弾、『こども礼拝』を毎週日曜日(予定)にお届けします。
 「光の子園」での礼拝説教をまとめた、幼児から小学生低学年向きの説教集です。小学生礼拝のテキストとしても最適です!

※本文中の呼称・用語は、全て掲載当時の名称です。

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7. 神に召されたアブラハム

〈ポイント〉
①神様に召され、祝福を受けたアブラハムは神様の言葉に従順に従った人である。
②アブラハムが示した寡欲(かよく)と、謙遜(けんそん)の精神を学ぶ。

〈聖書:創世記第11章~第13章参照〉

アブラハムは神様に召命され、たくさんの祝福を受けた
 今日は「アブラハム」という人のお話です。ノアの子供セムから子供が生まれ、それからもたくさんの子供が生まれ、ずっとあとでアブラハムが生まれました。アブラハムのお父さんはテラと言いました。

 そのころ、偶像崇拝といって、人間と万物を創造された親なる神様を礼拝するのではなく、動物や人間の像を造り、それを神様だと信じて礼拝する人たちがいました。お父さんのテラも偶像を礼拝し、それを売っていた人でした。しかし、アブラハムだけは違いました。神様を信じていました。

 アブラハムがお父さんのテラと共に、奥さんのサラ、甥(おい)のロトと召使や家畜を連れて、生まれ故郷のウルの地からハランの地に移り住んでいた時のことでした。ある日のこと、神様がアブラハムに言われました。「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい」と。

 神様はアブラハムに、「もう一度、家族と召使、家畜を連れて、新しい土地に移りなさい」と言われました。今まで慣れ親しんだ家や土地、親戚(しんせき)の人や友達など楽しい思い出がいっぱいある所です。そういう所を離れ、今まで一度も行ったことのない土地に行きなさいということです。また、召使や羊、ろば、らくだなどもたくさんいたでしょう。家の中の道具もありました。それを全部持って、全く知らない所に行くというのは大変なことでした。けれども、アブラハムは神様のことばに素直に従いました。ノアの時もそうでしたが、このように、神様の願いに対して素直に「ハイ」と返事をしたアブラハムを見て、神様はとても喜ばれました。神様が親なるお方であり、その神様が言われることをアブラハムは信じました。

▲神の声を聞いて移住するアブラハム

 神様は「わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。あなたは祝福の基(もとい)となるであろう。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地のすべてのやからは、あなたによって祝福される」と、おっしゃいました。アブラハムはサラと甥のロトを連れて出発しました。ロトはアブラハムの弟の子供でした。ロトは小さい時にお父さんを亡くしたので、おじさんのアブラハムを自分のお父さんのように慕っていました。アブラハムもロトを我が子のようにかわいがったのでしょう。今から新しい地に引っ越しをするという時、ロトを連れていくというのは、アブラハムとロトは親子のような関係だったからです。召使たちもアブラハムの偉大さと愛の深さを知っていたから素直に従いました。神様に祝福されて多くの万物と人を得ていたアブラハムは、いよいよカナンの地を目指して出発していくのでした。

 さて、カナンに着いたアブラハムは神様の声を聞きました。「わたしはあなたの子孫にこの地を与えます」。アブラハムは神様に感謝して、祭壇を作り、礼拝しました。そこにはカナンびとという人たちが住んでいたのですが、そこを全部アブラハムに下さるということでした。アブラハムは神様の祝福を受けていたので、牛や羊、ろばやらくだなどの家畜と、金、銀などいろいろな財産をもっていましたし、大勢の召使たちを従えていました。

アブラハムは寡欲で謙遜な人であった
 一方、ロトのほうも、同じように神様の祝福を受けて、たくさんの万物と人々がいました。それで、アブラハムとロトの家畜を飼っている牧者たちが争いを起こしてしまいました。あまりにも家畜が多くなったので食べさせる草を奪い合うようになったからです。そこで、アブラハムはロトを呼んで言いました。「わたしたちは身内の者です。わたしとあなたの間にも、わたしの牧者たちとあなたの牧者たちの間にも争いがないようにしましょう。全地はあなたの前にあるではありませんか。どうかわたしと別れてください。あなたが左に行けばわたしは右に行きます。あなたが右に行けばわたしは左に行きましょう」。

▲土地のことについて話し合うアブラハムとロト

 アブラハムは、まず、ロトに「あなたが良いと思う土地を選びなさい」と言いました。この時アブラハムは一族の長として力がありました。ほとんどアブラハムの思いどおりになりました。しかし、アブラハムはいばったり、自分だけが良い物を取ろうとは考えていませんでした。アブラハムが祝福されることによって、ロトもたくさんの万物を分けてもらっていました。それでもなお、アブラハムは我が子のように愛したロトに良い地を与えたのです。ロトはヨルダン川を見渡して、緑の草木が茂っている良い地、ヨルダン川の低地を選びました。アブラハムは残った山地に住むことになりました。

▲土地を選ぶロト

 ロトがアブラハムと別れた後に、神様がアブラハムにおっしゃいました。「すべてあなたが見わたす地は、永久にあなたとあなたの子孫に与えます」と。実は、ロトが選んだ地は見た目は良かったのですが、そこにはソドムとゴモラといって、悪い町がありました。アブラハムは、見た目には住みにくい山や谷のある土地をもらいましたが、神様はアブラハムを祝福し永久にそこに住んで良いと言ってくださいました。それは、アブラハムの心が謙遜で寡欲であったからです。自分のことだけを考えるのではなく、相手のことを思う思いやりの心をもっていたということです。そして、いばったり、欲張ったりしなかったからです。

 時々、自分のことだけを考えて、使っているおもちゃを1人占めしたり、自分が良い物を取って、相手に悪い物をあげたりすることがないでしょうか。神様の祝福はどうだったのでしょうか。相手のことを考え、自分が見かけはよくないものをとったアブラハムの上に神様の大いなる祝福がありました。

 皆さんも、アブラハムのように、良いものは全部自分のものにしてしまう欲張りの心でなく、友達に良いものを与えてあげる心をもつ人になりましょう。

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 次回は、「ソドムとゴモラ」をお届けします。



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