家族の絆づくり 153
バランス感覚と平常心のある人生

ナビゲーター:阿部 美樹

平常心こそ、平安に生きる秘訣
 病気とは「体のバランス」を失った状態であり、心疾患などは「心のバランス」を失った状態です。
 さらには、人間関係のトラブルも「人と人とのバランス」を失った状態だと言えます。

 幸せな人生を歩むためには、「バランスを保つ」ということは大切なことです。体のバランス感覚が優れた人を「運動神経の良い人」と言い、人間関係のバランスの良い人を「コミュニケーション力の高い人」「愛情深い人」と言うことができるでしょう。

 困難な状況でも落ち込み過ぎてはいけないし、うれしいことがあったとしても有頂天になり過ぎてもいけません。緊張し過ぎてもいけませんし、気を抜き過ぎてもいけません。
 どのような状況でも「自然体」で「平常心」を保ってこそ、心身ともに最大の能力と個性を発揮することができます。

バランスを取り戻す二つの方法
 それでは、バランスを崩した場合、どのようにバランスを取り戻したらよいでしょうか。
 二つの方法を紹介します。

 一つは「瞑想(めいそう)法」です。
 「瞑」とは、目を閉じて心静かにし、ゆっくりと呼吸して五感を休息する感覚で、限りなく「無」に近づくことです。さまざまな心配や不安、恐れや緊張などを忘れて、「無私の境地」に入ることです。
 一方、「想」とは思い描くこと、想像すること、有を生み出すことです。

 例えて言うなら、落書きだらけの黒板を消すのが「瞑」であり、奇麗になった黒板に書き込むのが「想」です。黒板がごちゃごちゃ書き込まれていると、何を書いても理解できないし、目的が果たされないということです。

 もう一つの方法が「呼吸法」です。
 丹田腹式呼吸など、ゆったりとした深呼吸を繰り返すことです。

 呼吸は字のごとく「呼気」と「吸気」の繰り返しです。
 呼吸は自律神経にも大きく影響し、心の在り方にも変化を与えます。

 息を吐いた時は、「副交感神経」が働くようになり、心が落ち着き、平安な心に導いてくれます。お風呂に入ったときなど、気持ちの良い場合は「ふ~」と自然と長く吐きます。笑う時も「はっはっは~」と息を吐きながら笑います。

 一方、息を吸う時は、「交感神経」が働くようになり、心が興奮状態になります。何かショックなことがあった場合、「ハッ」と息を吸いながら驚いたり、悲しみのあまり泣く場合も「ヒーヒー」と息を吸いながら泣いたりします。

 このような場合、特に「長く吐く」ことに意識を向けて深呼吸すれば、徐々に平常心を取り戻すことができます。

 バランスを大切にして平安な生活を送っていきましょう。