愛の知恵袋 145
女性が年齢にこだわるのはなぜか

(APTF『真の家庭』266号[2020年12月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

なぜ女性は化粧と服装に時間とお金をかけるのか?

 数人の男性と談笑していた時のことです。ある50代の男性が言いました。

 「女って不思議ですね。うちの奥さんはもう50歳になるし、日ごろは『節約! 節約!』って言っているのに、自分の化粧品にはすごいお金をかけるんですよ」

 「うちでもそうですよ。60も過ぎて夫もある身なのに、出かける時には30分も鏡の前に座って化粧をするんで、こっちはいつもイライラするんですよ」

 「それはまだいいほうですよ。うちは70をとっくに過ぎていますけど、この前、出かける時間が過ぎてもまだ鏡にすがり付いているので、『時間がないよ、早くして。どうせ歳も歳だし、大して変わらんでしょ!』と言ったら、血相変えて怒られてね、その日は晩御飯も出ませんでした」

 そこで大爆笑になりましたが、一同、「女の心中計りがたし」ということで落ち着きました。

女性は一体、何歳でいたいのだろう?

 体の容姿よりも精神の成熟度に関心を持つ信仰者や知識人は、見た目年齢はあまり気にしないかもしれません。しかし、一般社会では、「人は見た目で90%判断する」と言われます。ということになれば、男でも女でも、若々しい容姿を保ちたいと思うのは当然です。

 ただ、「年齢」と「若さ」に関しては、女性には男性たちが想像もつかないほどのデリケートで強いこだわりがあるようです。年齢を聞かれるとさらりとかわし、1歳でも若く見えるように肌の手入れに余念がありません。面白いことに、少女時代の女は、少しでも自分の年齢を上に見せようと背伸びをするそうです。

 ところが、大人になった女は、自分の年齢が少しでも若く見えるように日々努力しています。この点について、医師でカウンセラーの姫野友美先生は著書の中でこう言っています。

 「大人の女は若くなりたい、少女は年上に見せたい。両者の願望を突き詰めていくと、一体、何歳に行きつくのだろうか。要するに、女は何歳になりたいのだろうか。英国の動物行動学・人間行動学の大御所、デズモンド・モリス博士は、ずばり、『21歳』だと言っている。女はみんな21歳になりたがっているのだ」

 モリス博士がどういう理由で21歳説を唱えたのか詳細は知りません。しかし、自分の周りにいる何人かの女性に聞いてみると、「21歳ですか。ふーん、納得できます!」と言うのです。

結婚や出産は、もっと早めが良いのでは

 医学的に見て、人間の体の機能は21歳頃には男女ともに完成段階に達しており、その頃結婚して、以後の10数年に何人かの子を出産するのが最も自然だということができます。

 だから、神様はその適齢期に男女が結ばれるように、女性が21歳の頃に最も美しくなり、香り立つほどの魅力を放つように創造されたのに違いありません。

 21歳が女性の結婚適齢期というと、今の日本や欧米の社会通念からすれば若すぎるように感じますが、歴史を振り返ると、多くの女性は20歳前後の数年間で結婚していました。

 戦後、日本は晩婚化が進み、令和元年には平均初婚年齢が男性31.2歳、女性29.6歳になりました。この状態はむしろ異常です。晩婚のため、不妊や流産、障がい児の出生率上昇などで辛い経験をしている夫婦が増えています。また、晩婚化が少子化の大きな原因になっているという点を考えても、結婚はもっと若い時期にしたほうが良いと思えてなりません。仕事優先、エンジョイ優先の人生観、結婚観は見直すべき時に来ていると言えるでしょう。

女性の「美容と健康」志向は、みんなのハッピー

 さて、話を戻します。女性が見た目年齢にこだわるのには、それなりの理由があります。

 第1の理由は、男は本能的に若い女に関心を持つということです。男性は視覚に強く影響されるので、無意識のうちに美しい女性に惹かれます。若い女性は注目され、親切にしてもらえる…つまり「モテる」のです。女性はそれを直感的に知っているので、美容と健康に気を配ります。

 第2の理由は、顔がきれいになると、気分まで変わることです。女性は自分の老け顔を見ると気分が滅入ってきます。しかし、自分が若々しく見えると自尊感情が満たされ、自信がわいて前向きになれます。余裕ができて明るくなり、笑顔がこぼれ、行動的になります。これは家族にとってもハッピーなことです。

 第3の理由は、夫婦が一生仲良くしていくための要素になることです。妻が美しく優しく魅力的であることは夫から愛される大きな要因となり、夫婦円満の原動力になります。

 ですから、高齢になっても美容と健康に気を配り、若く美しくあろうとする妻の努力には感謝こそすれ、間違っても、馬鹿にしたり冷やかしたりしてはいけません。もし奥様が怒って手入れをやめ、お顔が耕作放棄地のように荒れ果てたら大変です。

 夫は妻の化粧やおしゃれを奨励し、「きれいだね!」、「若く見えるよ!」、「素敵だね!」と大いにほめてあげましょう。

参考文献:「なぜ男と女は4年で嫌になるのか」姫野友美著・幻冬舎刊

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