2020.11.20 17:00
映画で学ぶ統一原理 14
(この記事は、『世界家庭』2019年6月号に掲載されたものです)
ナビゲーター:渡邊一喜
『国際市場で逢いましょう』
2014年。127分
朝鮮戦争、興南からの南下、釜山からの再出発。
真の父母様が歩まれた時代、場所を描いた感動作
韓国映画『国際市場で逢いましょう(原題:国際市場)』は、朝鮮戦争やベトナム戦争を背景に、家族を守り抜いた男の生涯を描くヒューマンドラマである。韓国で大ヒットを記録し、観客動員数は1400万人を突破。これは当時としては歴代2位だった。
今回は、統一原理そのものではなく、真の父母様の路程を知るための一助となる作品である。
主人公は釜山で小さな商店を営む老人ドクス。商店街「国際市場」の再開発のために店舗の立ち退きを要請されるが、頑として拒み続けていた。彼は近所でも有名な偏屈者であるが、その理由が彼の半生を回想するストーリーの中で解き明かされていく。
朝鮮戦争の中、少年ドクスは家族と共に故郷の興南から離れようとしていた。その最中、避難のために船に乗り込もうとしたそのとき、ドクスは背負っていた妹を落としてしまう。その妹を捜すため父親が船を降りたが、不運にもそのまま父親を置いて船は出航してしまった。
船に残った家族はその後、釜山にいる父の親族を頼りに生活を始めるが、ドクスは父の「おまえが家族を守らなければならない」という最期の言葉を宿命とし、西ドイツに、また戦時中のベトナムにと出稼ぎにいく。
家族を守るために自らを犠牲にすることだけを、自身の人生としてきたドクス。その使命感で苦労に耐え、年を重ねることで頑固な性格が形づくられていったのだったが、年老いたドクスが過去を回想しながら、少しずつ自らの感情を解きほぐすきっかけを与えられ、ストーリーは収束していく。
この映画の背景は、真のお父様が公生涯を出発された頃を想起させる。朝鮮戦争、興南からの南下、そして釜山からの再出発。またドクスの内面世界は、父との約束で縛られている。それは自身が家族を引き裂いたという罪責感と、家族に対する純粋な愛情から来る束縛である。
守るべきものの大きさと深刻さはもちろん違うが、神様との約束を守り通し聖和されたお父様の生きざまと重なって見えてくる。
ドクスの生涯は、一面から見れば家族の犠牲になる忍耐の連続だったが、その分、家族の幸福を誰よりも喜んだ。クライマックスで父をしのんで泣くシーンは、天の父母様(神様)と真の父母様の関係を見るようである。
情に厚い、韓国の心情的な文脈も同時に感じ取れる素晴らしい作品である。
(『世界家庭』2019年6月号より)
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