2020.09.26 12:00
「平和の母」が流した七つの涙 6
【第六の涙】人類への涙
浅川 勇男
「平和の母」シリーズ第3弾。自叙伝書写の第一人者、浅川勇男氏による「『平和の母』が流した七つの涙」をお届けします。
人類は皆兄弟姉妹であり家族です。それ故、誰かが無慈悲な仕打ちを受けて苦痛を抱くとき、その痛みは全人類に伝播します。
「地球の片隅で感じる苦痛は、地球全体の、全人類の苦痛となることを忘れてはなりません」(韓鶴子総裁自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』250ページ)
人間の生存にとって最も重要なのが食生活です。
飢えの危機に瀕している人々は、2018年には世界で8億2,160万人に及び、実に世界人類の9人に1人が飢えに苦しんでいることになります(2019年「世界の食料安全保障と栄養の現状」、日本ユニセフ協会)。
「平和の母」韓鶴子夫人は、世界的飢餓に対して、アキンウミ・アデシナ博士の言葉を引用しています。
「世の中に、食事を提供し、飢餓と栄養失調をなくすことよりも重要なことはありません。飢えというのは、人類にとってまさに害悪です。白、黒、ピンク、黄色、いかなる肌の色の人も、飢えてはいけません」(同41ページ)
人類はさらに深刻な問題を抱えています。国内外の紛争のため、土地住居を追われて流浪する難民問題です。
強制的に住む場所を追われた難民、避難民は、世界で約7,080万人もいるのです。そのうち紛争や戦争、迫害から逃れるために国外に脱出した難民は2,590万人に及びます。毎日、37,000人の新たな難民避難民が生まれているのです(国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉、2019年報告)。
この悲惨な現実の犠牲者は子供たちです。
避難を強いられた人々の約40%は18歳未満の子供たちなのです。親兄弟と離反し、誰にも守られることなく暴力や虐待を受け、教育は全く受けられず、少女たちは10代前半で結婚を強いられることもあります。乳幼児たちは栄養失調で弱り果てて死を待つばかりです。
この惨状に心を痛める「平和の母」は語られます。
「私たちが家で、心安らかに温かい御飯を食べている時でも、多くの人々が故郷から根を抜かれて追われ、流浪しています。自分の家から追い出される苦痛と悲しみは、人生を根底から揺さぶります。その胸痛い悲劇を、私たちの世代で必ずや終わらせなければなりません」(同39~40ページ)
「私は南米に行って、何度も涙を流しました。広大な地で苦労しながら生きる人々の苦しみに涙し、学習意欲にあふれながらも文字すら学ぶことのできない子供たちを見ながら、心が張り裂けそうになりました」(同345ページ)
韓鶴子夫人は「平和の母」として、全人類の「真の母」として、悲惨な人類のために涙を流し、自らを完全に犠牲にして、与えて忘れる愛の実践をされているのです。
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